「ああああああ!」
その日、人形師は普段からは想像もつかないほど頭を悩ませていた
「ど、どうかしたんですか?」
「まとまらない」
人形師は珍しく片づいた作業台にロール紙を広げ、何か設計図を書いている最中のようだった
その椅子の横には何枚もの設計図が描き殴られ、くしゃくしゃに丸められて投げ捨ててある
そして今描いていた設計図もぐしぐしと丸められ、たった今その仲間入りを果たした
しかしそんなにも何に頭を悩ませているのか、当然デンデには皆目見当もつかなかった
「あの…」
「これじゃあ見た目だけだ、だがこれじゃもっとダメだ」
「…」
黒に近い濃い茶の髪をがしがしと掻きむしりながら鉛筆と定規を片手にロール紙に向かうその姿は
初めて見るそれだといっても過言じゃなかった
普段人形の設計図なんかを描く人形師はもっと落ち着いていて、涼しい顔して鉛筆をロール紙に走らせていた
しかし今は、同じ定規と鉛筆とロール紙を使っているはずなのに、全く違う。
473 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/04/03(金) 00:09:54.00 ID:TAW8SUDO Be:
鉛筆は紙の上を走らずに、何度も立ち止まり道に迷い
同じ場所を幾度も行ったり来たりを繰り返す。
普段涼しい顔してる無表情な人形師のその面も、やはり同じ無表情のはずなのに
ひどく悩み考え苦しんでいるように見えた
それはまさに今まで一度も見たことのない姿で…
「もういやだ」
ごん、と堅い音とともに人形師の頭が作業台に伏せられた
よっぽどなやんでいるらしい
あの人形師が仕事を放棄したがるなど…
「らしくないですよ、679さん」
「…」
「?、なんですか」
不意に、人形師の黒手袋の手がデンデのズボンをつかみ
そのガラスの目がじっとりとデンデを見ていた
「見せて、デンデ」
「な、何をですか?」
「脚」
「え、あの…」
椅子から立ち上がった人形師が、そのままデンデを作業台に押し倒した
デンデの背中の下で、くしゃりとロール紙に皺が入った音がしたが、人形師は止まらない
「やっ、あの、やめっ…」
474 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/04/03(金) 00:12:25.23 ID:TAW8SUDO Be:
デンデの抵抗も空しく、人形師は器用に片手でデンデの幼さ残る下半身を包むズボンをするりと抜き取った
無性故に性器の付いてない股間に下着の存在など無く
そこまでも簡単に外気に晒されてしまう
「やっ」
人形師の指先がデンデの脚の付け根をそっと撫で、そのまま筋肉のラインを確かめるように膝までなぞり落ちてゆく
触れるか触れないかの位置にある人形師の指先が這うように移動する度
悪寒にも似たぞくぞくとする妙な感覚がデンデの体を襲い、奇妙に甲高い声が喉から漏れた
「〜〜〜っ」
「…なるほど?」
デンデの腿を、臑を、そぅっとなぞりながら、人形師はまるで何かに取り憑かれたかのように
空いていた側の手で作業台に敷かれたままのロール紙に鉛筆を走らせていた
その目は瞬きさえもせず、普段の1.2倍は見開かれ
かりかりと響く鉛筆の音と相成り、恐怖と好奇心の狭間のなんとも言えない心境にデンデを誘っていた。
つづく。