ずーっと未来のロボとカミサマ

379 ロボ@トリ紛失中 [sage] Date:2009/02/09(月) 17:57:20.38 ID:6ZomEgDO Be:
何となく書きたくなった679デンデ
ずーっと未来のお話。


今日も天界は晴れ

お日柄もよく、春の近づく陽気な天気

「おはようございます。ポポさん」

「おはよう かみさま」

いつも通り、ありふれた日課
朝起きて、ポポさんに挨拶
少しのお水を飲んで、いつものように下界の観察をして報告書をまとめる。

「…」

いつからだっただろう
下界は土の地面が減って、人工の地形が増えた
そしてなにより、機械人間が多く増えた。

たくさん

今や地球の全人口の三割が機械、乃至改造を受けた人間だ

ずっと昔、ぼくにいろんなことを教えて、ある日急に消えたあの人よりも
ずっと進化したのであろう機械人間達が
今日も、人と同じように地球に生きている

「…」

懐かしくも、愛しい過去。

「…だめだめ、本当に年をとると過去を懐かしむのが好きになるんだなぁ」

でも
いつの日も青い空を見上げる度に思う

あなたは今どうしているのだろうかと


「…きっと、同じ空の下にいますよね」


381 トリ見っけ ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/09(月) 18:16:18.75 ID:6ZomEgDO Be:

「ポポさん」

「かみさま どうした?」

「少し、下界に行ってきます」

ポポさんにそう告げ、ふわりと天界の外へ体を投げ出す

下界に降りるのは何十年ぶりだろうか?

もう、昔みたいに若くはないからあまりトばしては飛べないけど
ふと、過去を懐かしんでみたくなったんです

きっとこの過去を懐かしみたいと感じるのは、歳をとった証なんでしょうね

雲を抜け、昔の思い出をなぞりながら様々な場所を回る

カプセルコーポレーション…セルリング跡地…バビディの宇宙船があった場所…天下一歩闘会会場…

そして
あの研究所

けれども研究所があった場所は、もう更地になっていて
建物があった面影もなかった。
そこからそう離れていない場所にあった、コンクリート打ち出しのマンションも
なにも、消えてなくなって。

「…そうですよね」

あれから、もう百年以上軽く過ぎてるのだから
無くて当たり前なんです。

でも
なぜだか、ここに未だそれがあるような気がしていたのも、事実です。
辺りを見れば、あの頃とはなにもかもが変わっていることぐらい一目瞭然なのに

「バカだなぁ、ぼくは」


382 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/09(月) 18:17:57.18 ID:6ZomEgDO Be:


なにを期待していたんだろう

研究所どころか679さんさえも、もう
いないかもしれないのに

「…帰ろう」

春が近づくとはいえ、ここはまだ冬の気配が色濃く残る北の大地
吐く息は白く染まって消えて
過去のことなんか、すべてがその息のように消えてしまったんだから

「…ー…、」

「…?」

そう諦めて帰ろうとしたほんの一瞬だったが、不意に懐かしい声を聞いた気がした。

そんなに低いわけじゃなく、高いわけでもないあの声

「…」

もうあの頃からは百数十年が過ぎてるんだ
いるわけがないのに
なのに
寒空の中、確かにその声を聞いた気がした。


ふらふらと、幻聴やもしれぬその声に引かれるように
ぼくはただ、その声がしたような気がした方へと歩いた。


383 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/09(月) 18:19:52.53 ID:6ZomEgDO Be:

幻聴ならば幻聴でもいいと思った。
ただ、真実を知りたかった

「…!」

「ロボット人権法改悪反対運動の者です、どうぞご協力お願いしますー」

ぼくは目を、疑った

広い通りの公園に停まった白いバンと、その周りでオレンジ色のジャンパーでビラ配りをする、気配のない人達

その中に、確かにその声はあった
姿も、声も、なにもあの頃と変わらない679さんがいた

胸が、痛くなる

どうしたらいい?
ぼくは

ぼくはもう、あの頃とは変わりすぎている。

ぼくは…



はい安価。

A・声をかける
B・声をかけない
C・むしろ反対運動に参加署名する
D・終わるのを待つ
F・679、気づけ。


393 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/11(水) 01:23:13.32 ID:I1muokDO Be:
ぼくは…

「…!」

ほんの刹那、目があった…気がした。

もしも彼が本当に679さん本人だとしても
もう百年以上も会ってないんだから、ぼくを解るわけないのに
そうです
ぼくを解るわけがない
忘れてしまっている可能性だってある

通り公園に背を向け、その場をあとにする

もう
帰ろう
ぼくはなにも見なかった

それによく考えてみれば百年の年月は長く
今更会ったところで彼には迷惑がかかるだけなのは至極当前の事

なのに

「神様!?」

「!」

冷えた空気の中、頼りなさそうな不確かな声がぼくを呼んでいた

なんで?

なぜ?

振り返ると、そこには
乱れる髪も気にとめずに、ひた走ってくる
あの姿があった

「神様ですね!?」

「!」

返事さえさせてくれぬ勢いで、きつく抱きしめられた
半ば体当たりのような、ひどく乱雑な抱擁

「会いたかった…神様」

「…679さ」

いろんな思いが、こみ上げてくる
誰も訪れることのないただ広い天界で、百数十年間抱え続けた様々な想いが、溢れそうになる


394 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/11(水) 01:25:30.14 ID:I1muokDO Be:

「泣かないで…神様」

「泣いて…ないですよ?」

抱きしめられた胸から、腕から、きりきりと懐かしい歯車の音がする
カシャカシャと、懐かしい音がする

確かなそこにある温もりが、触れた身体からゆっくり伝わってくる

「…679さん」

百年もの間、もう一度こうして抱き合えることを何度夢見たことでしょうか

「会いたかった、ずっと」

抱きしめられていた身体がやっと離され
懐かしい679さんの音が少し遠のく

「103年3日と5時間45分ぶりです、神様」

「…」

無意味に几帳面な性格も、そのままで
あの頃と何も変わらない外見に、つい、そんな時間の流れなど忘れてしまいそうになるけれども
ぼくは…

「…679さん、ぼくは…歳をとってしまったでしょう?」

もう、彼が愛してくれた頃の若さ幼さが
今のぼくには、無い
何も外見の変わらない彼とは違い、ぼくは年を重ね、少なからず老いた
それは揺るぎのない事実

「…」

「…679さん?」

何も言わぬまま
肩に触れていた彼の手が、頬に、額に、瞼に、ぼくの顔中に触れる
何かを確かめるかのように、ゆっくりと
そしてその手が下ろされ、やっとその口が開かれた


395 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/11(水) 01:27:56.90 ID:I1muokDO Be:
「大丈夫、年を重ねても、あなたは魅力的です」

「…679さん、もしかしてあなた…」

嫌な予感がして、背中を気持ち悪い汗が伝ってゆく
まさか
いや、でも…

「飛行機能を緊急除去されてから103年と3日、実に長かった…あなたには話したいことや謝りたいことが沢山ある」

「…」

ぼくとはまるで違う方を向き、話す姿に
予感は、確信へと変化した。

「…、目が、見えてないんですね」

「…」

ぴたりと彼の動きが止まり、音で感知したのかゆっくりとその顔がこっちを向いた
何も言わぬまま、ゆっくりと

「…」

「…」

「…」

「…はい、お察しの通り現在私のアイカメラはほぼ見えておりません」

人の目に似せて作られた濃いブラウン色のガラスの向こう、小さな機械レンズがぴくりと動くことなくぼくを見ていた

「しかし全く見えてないわけではありませんよ、分厚い擦りガラス越しのように程度は…」

「…」

不謹慎だとわかってはいた
いけないことだとわかってもいた

なのに
ぼくは胸の中に確かな喜びを感じていた
それは少なからず年を重ね、若さを失った姿をその目に晒される事がないという、利己的な喜び


396 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/02/11(水) 01:29:36.62 ID:I1muokDO Be:
「…」

「…神様?」

「…」

「神様?どうかされましたか?」

胸の中、じわじわと沸き起こる利己的な喜びを必死に掻き消した
人の不幸を喜ぶような事はダメだと、必死に

「神さm」

「679さん、それ砂箱ですよ」

「…失礼しました」

道脇の砂箱に話しかけていた679さんの手にそっと手を重ねながらも、ぼくはただただ胸の中に咲く利己的な喜びの芽を毟り続けた

人の不幸を喜んではならないのに、湧き上がり続ける利己的な喜び…




おしまい




391 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] Date:2009/02/10(火) 00:06:59.18 ID:/gLRRUDO Be:
悩んだ結果、熟れ熟れデンデを残しては死ねないので、679にはまだ生きてもらうことにしました。
この話の終わりで死ぬ予定だったんだけど、めでたしめでたし。

そしてつまり楽しめる属性がこうなる
現代→未成長で未熟のぴちぴちロリ
未来→まだ少し幼さ残る初々しい青年期
ずーっと未来→熟れ熟れデンデ

一粒で三度美味しいとはよく言ったものですね!
679が機械でヨカッター!

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