小さな小さな魔王様 僕はニセモノ勇者様 Vol.13

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917 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 12:57:46.27 ID:uTj/nRQ0 Be:

よいこのためのしんせつなあらすじ!



――巻きますか・巻きませんか――

それは俺に届いた手紙の裏に書かれていた。
平凡で下らない生活を根底から打ち崩すメッセージである事など露知らず、
俺は手にしたボールペンで、選んだ言葉にくるりと円を描いた。


918 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 12:58:37.64 ID:uTj/nRQ0 Be:
「おい。オレと契約しろ」
「いきなりッスか。しますけど。喜んで」
「今から五秒以内に紅茶を入れろ」
「拒否権なしッスか。やりますけど。喜んで」

真赤なドレスを身に纏った美しい巨体、ピッコロ。
緑の肌のせいで何かもう年中無休のクリスマスカラーだ。

「ピッコロしね」
「いきなり現れたと思えば随分と生意気な口だな」
「天使やー黒い羽の天使さんやぁー」
「キャシャリンが出たあああああ」

あらゆる色彩を切り裂くナイフにも似た黒い衣装の、クウラ。
濃い紫の滑らかな皮膚。赤い瞳の気高き孤高。
三千世界の鴉を抱き、夢に見やるは何事か。

「助けてえピッコロさーん」
「キャー!ガラスの欠片で腕から血がー!」
「ん?ああ、お前か」
「……何です?この何の役にも立ちそうにないモヤシハゲは」
「うわあ超DO☆KU☆ZE☆TSU」
「すまない。こいつは人見知りなんだ」
「どこから出たのそのセリフ?!」

裾の長いジャンパースカートを棚引かせ、突如窓ガラスを突き破って舞い降りた、デンデ。
深い碧の被服と緑色の肌は全身是目ノ癒也。


919 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:00:04.96 ID:uTj/nRQ0 Be:
「僕にはころして欲しい人がいるんだ」

思い人に裏切られ心を病んだ>>129。どうでもいいからスルー。

「だから……君は僕のために存在してくれるね?」
「うるせえバーカ!はいマスターなんて言うかバーカ!命令すんなバーカ!」
「あっれえ!?」

蒼い、蒼い男装をきりりと着こなすマジュニア。
高飛車で俺様な態度が逆に苛めたくなるこの気持ちは何だろう!!

「うにゅー」
「何か出たー!!」
「俺の中身がー!!!!」

桃色のドレスに包まれた、まるで綿毛のように軽やかな幼子、ブウ。
無垢で無邪気な笑顔のまま、台風より凶暴な力を揮う。
>>1のお腹のアンコは限界ギリギリ漏れちゃうヨー。

「楽してズルして」
「頂きでやんすね!」
「かしらだー!」
「多いー!!!」
「あら失礼しちゃうわね」

黄色。ガーリックJr。そしてお供のニッキー。サンショ。ジンジャー。
あとTV版のもいる。多い。ちやほや。超温室。超優遇。

「ほほほ……揃いましたね」
「だ、誰だ!」
「形など虚しき物」
「どこにいる。姿を現せ」
「ぼくは虚無。僕は全て」
「な……ま、まさか」

アラバスタの白い花を広げ、麗しきかんばせを綻ばす、フリーザ。
硝子の鏡の虚無の世界の移ろいゆかぬ心無い口元。


920 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:02:11.18 ID:uTj/nRQ0 Be:
頑張れ>>1!完璧に戦力外だけど!
時々病院から「オクレ兄さん」とか錯乱しながら>>706が脱走して来るぞ!
そしてお兄さんの>>679は露骨にデンデ贔屓だ!!
あとピッコロさんとクウラとデンデは名探偵ちゃおずに夢中!!


―――美しくも咲き誇り、儚く舞い散る薔薇の花弁―――


「七つのドラゴンボールを手に入れて」


「オレが」
「俺が」
「ボクが」
「オレさまが」
「おれが」
「私が」
「ぼくこそが」


「 ア 完全 リ なる ス 存在 に―――!」


薔薇無性の戦いが今始まくぁすぇdrftgyふじこlp;@

921 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:03:30.41 ID:uTj/nRQ0 Be:






 なかったことにしてください。




 

922 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:07:40.91 ID:uTj/nRQ0 Be:

さァてさて
暗き闇にて上がる火の華 艶やかにもおぞましきは白の魔性

かに対峙しは

 一人のがんぶつ 一人のわざおぎ 一人のあきんど
 一人のはんよう 一人のわらはべ 一人のこんとん

 贋物ありは何もなく
 俳優持つはカラクリ一つ
 商人握るは拳の二つ
 半妖睨むは瞳が三つ
 童子震えは四肢で四つ
 混沌眺めは背中が五つ


いざや如何なる 狂想劇か
架かる焔は近く揺らめく
舞う暗闇にぞ 明かせとて
くゆら ゆらゆら
くゆら ゆら


923 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:10:07.11 ID:uTj/nRQ0 Be:
遠き森にや 集落や
遠き日に火に 燃えたとや
燻る煙る家町並みぞ
がらがらどうと焼け崩れ
後は残さぬ がらんどう

くゆらゆらゆら くゆらゆら
がらがらどうと がらんどう

何の音する何の音せむ
親呼ぶ子供の声やせず
子呼ぶ親御の声やせず

ただ静々と 粛々と
崩落の終わり待つばかり

白の魔性に嬲られて
煌々と舐る恐れをば
只管墜つるが待つばかり

くゆらゆらゆら くゆらゆら
がらがらどうと がらんどう

いざや如何なる 狂想劇か
架かる焔は近く揺らめく
舞う暗闇にぞ 明かせとて
くゆら ゆらゆら
くゆら ゆら


あと俺続き書けんのか超心配。


924 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:11:33.53 ID:uTj/nRQ0 Be:





上品な、高い声で笑う。
炎に照らされてぬらぬらと鮮やかな白い肌の持ち主は、
黒い爪をした四つの指のある右手をこちらへ向け、
手のひらを上に、人差し指を伸ばしたまま残りの指をゆるく曲げた。

「あなた」

少しだけ肩を竦ませ、背を屈め、宙に浮いた膝をも僅かに丸めて猫のように喉を鳴らす。
指された先には―――

「……」
思わぬ強行軍に疲れきった>>464が、餃子を庇い立ち、
斜に構えた顔でそれを睨み据えている。
実際にはどう考えても餃子の方が強いです本当にありがとうございました。
なのだが、
守られてるアタシってキュート!と思っているのかどうなのかは知らないけれど
餃子は己を守ろうとする大好きな人の脇から前方を覗き、心配そうに>>464を見上げる。


925 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:12:47.94 ID:uTj/nRQ0 Be:
餃子「お、お兄さん」
>>464「……惚れた」
餃子「え!?」
>>464「英語で言うとフォーリンラブ。むしろヴ。ラヴ」
餃子「お、お兄さん!!?」
>>129(鼻声)「恐怖のあまり>>464くっせえが狂ったー!!!」
??「本心が漏れてるぞ!」
天さん「しっかりしろ>>464ー!」
>>706「>>129、ちょっと『僕はねー、ゆで卵が好きでねー』って言ってみろりん」
>>129(鼻声)「え? 僕はゆで卵が」
餃子「ばんどうえいじ止めろ」
天さん「坂東wwwwwwww」
>>464「名ピッチャーwwwwww」
>>706「wwwwwwwwwwwwww」

「きー!何を勝手に盛り上がってるんです!!」
>>464「はッ 俺は一体何を……」
「そこのあなた!」
>>464「何だよ」

「汚らわしい」


926 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:14:24.59 ID:uTj/nRQ0 Be:
魔物の口から言葉が吐き捨てられた瞬間、ビリ、と空気が痺れ、
音を立てて弾けた電光が魔物の指先で圧縮する。
目も眩むほどの一点に、周囲が暗くさせられていくように感じられた。

唇を横に伸ばし、口角を吊り上げ、魔物は再度笑った。
三日月よりも細めた目の奥にちらちら映る炎の色を、何故か綺麗だと>>464は思った。

闇が濃くなる一瞬、
何が起きたのか分からなかった。
ただ、
急に耳鳴りがして、

全身が総毛立った。

頬が、
ちびのいる側じゃない頬が、熱い。

こえーけど、すげーこえーけど、触ってみた。
濡れてない。血は出てねえ。
でも、何だコレ。
俺の皮膚は珠の肌って訳じゃねー。ガッサガサだ。
ガッサガサの皮膚の熱い部分が、
木みてーになって、そんで、抉れてる。

何だコレ。

俺を見上げたちびと目が合った。ちびが短く息を吸った。
ひ、とかヒュ、とかいう音がした。


928 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:15:42.70 ID:uTj/nRQ0 Be:
「かすっただけですよ」

楽しそうに、でもどっかつまんねーみたいにバケモンが言う。
あの光が当たったんだ。
そんなん知りたくねーのに気付いた途端、
火傷を通り越して炭化した頬の線が、

>>464「ッいあ"、あ、ぉお"お"  ッ、ああああああ!!!」

傷口に塩をぶち込まれたみてーだ。
ヤスリで引っ掛かれて削られるみてーだ。
トゲの生えた蔓草の群生に突っ込んだみてーだ。
痛え。
痛え。
痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。痛え。

たった一筋である。
ごく一部に過ぎない致命傷ですらない傷が激痛を齎し彼の精神を蝕む。
辺り憚らず呻く>>464の惨状に、その場にいた>>129以下は色を失った。

すぐさまローブで身を隠した矮躯が>>464の元へ駆け寄る。
お兄さん、と間近にいる餃子が倒れこむ>>464の上へ覆いかぶさるようにして悲鳴を上げた。
治るか、と天さんが魔物から目を逸らさずに尋ねた。
治せないハズがないだろう、と体躯の主は虚勢ともつかぬ声を荒げた。
>>706は何も言わないでいる。
ごろりと転げた>>464の頬から血が滴った。
狂乱の最中に掻き毟ったのだろう、指を汚して蹲っていた。
それでも餃子と魔物の間に割り込んで、彼は玉の汗をかく。
分別が消えた訳ではないのだと判断し、>>129は少しだけ胸を撫で下ろした。


930 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:19:31.44 ID:uTj/nRQ0 Be:
ごごん、とまた何かの崩れる音がした。

火の勢いは留まる所を知らない。
肌がちりちりと熱い空気が触れる。
あとどのくらい、村の中にいられるだろうか。
あとどのくらい、死なずに済むのだろうか、と。
焦燥感が募った。

「貴方達」
おっとりとした蔑みの口調で魔物が注意を引きつけた。
>>464を顎で示し、
ああなりたくはないでしょう、先程の攻撃はほんの戯れですが直撃すれば死は免れませんよ
と事も無げに続け、
これから出す質問には正直に答えなさいと嫌に優しく言った。

「僕のお兄様を知りませんか」

それが魔物の質問である。

魔物は自らをフリーザと称し、魔王軍には属さぬ己の気高さを賞し、
便宜上、兄、という立場の、自らより先に生まれ出た存在を探しているのだと言った。

見れば魔物―――フリーザは、灼熱に何の関心もあらず涼しい顔をしている。
対してこちらは、駄目だ。焼かれるほど近くにはいないが、確実に力を削がれている。

何とかしなければ。せめて火を消さなければ。でも、どうやって?
僕一人では何もできない。


931 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:21:08.37 ID:uTj/nRQ0 Be:
>>129「その、お兄様、という方の、名は」
知らない、と迂闊に言ってはいけない。
粗暴な者に媚び諂い長い物に巻かれて生きてきたためか知らぬうちに卑屈な態度を取る。
それが>>129の処世術である。

しかし、ごまをすり媚び諂うその間にも考えをまとめようと必死に頭を動かしている。
どうすれば出し抜けるか。
どうすれば死なずに済むか。
どうすれば、何を利用すれば、平穏無事を取り戻せるか。

僕一人では何もできないならば道具を使えばいい。
僕は何を持っている?

薬草……無意味
毒草……無意味
万能薬……これなら>>464を治せるがそれは既になされつつある
解毒剤……無意味
風邪薬……無意味
傷薬……焼け石に水
劇薬……魔物を倒すにはいいかも知れないがリーチ的に無意味
リセッ○ュ……無意味
小さい金剛石……無意味
力の石……焼け石に水
魔力の石……僕では使えない
素早さの石……焼け石に水
賢さの石……無意味だろう
命の石……死んでも生き返ります。ただし一度だけ。無意味
炎の精製石……僕には使えない
水の精製石……僕には使えない
カロリーメイト的なもの……火で炙ると香ばしくなります。無意味

失敗した残骸……燃やせるゴミ。無意味

薬学書も、
草木とか菌類とか、何かそんなのの役に立つ本も、
どうみても実践用ではなく装飾用っぽい剣も、
何の役にも立たない。

使えそうな物を脳裏でリストアップ、取捨。


932 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:26:25.36 ID:uTj/nRQ0 Be:
これらの中では、
呼び出したウンディーネに活力を与える水の精製石と、
サラマンダーに対して同じ役割を持つ炎の精製石。
それと、各身体能力を上げる石が使えるだろう。

誰か。
精霊を呼び出せる奴がいれば
それだけでは足りない。魔法陣を描ける奴がいれば

誰にできるだろうか。
>>464が魔法陣を描くための硝石粉を持っていればいいのだが。
天さんと餃子は陣を描く事ができそうだ。
ローブの子は魔法を使っている。精霊を呼び出すことは可能だろうか。

全てがうまく行く保証はない。
どれ一つを欠いても炎の渦を止める事はできない。
けれど、やらなければ。

村が一つ消えるだけではない。
森が一つ消えるだけではない。
もっと被害は深刻なものになる。
風が変わるだろう。
天気が変わるだろう。
森の中を流れる川も変わるだろう。
肥沃な土壌の恩恵を賜っている様々な生き物の姿も変わるだろう。
自然がたった一部だけでも、消えるというのはそういう事だ。
だから、即刻手を打たなければならない。

天さんと餃子にそれぞれ力の石と素早さの石を与えよう。
ローブの子には水の精製石と炎の精製石、それに魔力の石を。

>>129は、こっそりと賢さの石を握りしめた。
石は簡単に砕けて形を崩し、汗を拭うふりをして擦りつけた額に溶けていった。
効果が現れるまで後5分ほど。
でも僕頭いいし意味ないかもNE!


934 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:29:40.64 ID:uTj/nRQ0 Be:

フリーザ「僕のお兄様の、名は」

フル回転していた虚構がフェイドアウト。次いで現実がフェイドイン。
聞き逃してはならない。それは死に直結する。
彼の声を。
見逃してはならない。それは死に直結する。
彼の一挙手一投足を。

フリーザ「―――クウラ」

熱いはずの夜風が
急に冷たくなった。

何だって?

  クウラ?


    それは、

      あいつ、

          >>706の


「あー、そっか」

瞬間、いや、刹那。
まばたきをする暇すら与えずフリーザが消えた。

ごしゃ、とけたたましい音がし、右方の家屋に穴が開いていた。
倒壊。
辺りを見回す。>>706がいない。

「やっぱか。うん」

声はする。
が、どこからだろうか。


935 ◆QEojHReE0E [sageパー速のデレツン具合マジおにちく] Date:2008/11/21(金) 13:47:35.53 ID:uTj/nRQ0 Be:
再度の轟音。
明るい何かが弧を描き、家屋から出てくる。
遥か空高く舞い上がり軽やかに降りてきたそれは、カラクリ。
身に纏った広い布に、明るい何かの正体である火がついていた。
それが、めろめろと布を焦がし縮めていく。

「お前さ、家族だか何だか知らねーけどさ、気に入らねーしな」

巻きつけられたそれの欠片が火の子を伴ってぼたぼた落ちる。
そのたびに露わになるカラクリの全貌。
しかし完全な人型をしたカラクリは、しかし歯車やぜんまいやカムなど見当たらず、
凡そ我々が抱く絡繰細工とは全く異なっていた。

あったのは、ただびっしりと鞣革で覆われ、それを隠すようにした
如何にも粗末な鉄屑と木板の―――

フリーザ「!!」
>>129「な、あ……!」

―――それは正しく、拘束具であった。

僅かに隆盛した背の一部が窪み、糸が伸びている。
細い細い脆弱な糸の先に>>706の指がある。
く、と引くと同時、空を焼く炎を反射しながら溶けた。
だが。

「俺のコイビトの事、呼び捨てにしてんじゃねーよ」

見えざる動力か内部にある『モノ』の意思か、カラクリは―――カラクリと思っていた物は、
ぎちぎちと己の身を縛る戒めを軋ませて確かに動いた。


936 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:48:28.61 ID:uTj/nRQ0 Be:
バネ仕掛けに見えたのは太ももに巻きついた螺旋の鉄板。
可動部に打たれたビスが痛々しくも鋼に食い込んでいる。
全てが紫色に塗布され事実を遠いものにしようと企んでいた。
そしてその計略は、
今の今まで、
張巡らせた張本人がそれと明かすまで成功していたのである。

>>706が、ふつりと途切れた糸の伸びる金輪の付いた指を撫でるように動かす。
クウラ改―――正しくは無情にもフリーザの兄そのものである存在が、
傾いだ首をぐるりと無機質に回し、主たる>>706に絡ませていた視線を外した。

フリーザを正面から見据える形となったクウラにつけられている仮面。
それに手がかかる。
にたりと笑んだ瞳を爛々と輝かせる顔が近づいて、
「ばあ」
楽しげに、どこまでも純粋に、それと分からぬようでありながら決定的に狂った男の声。

「ヒ……ッ!」
何に対しても心を煩わせる事などないといった風情をしていた強者の品格を持つ白い魔物の、
恐怖、動揺、嫌悪が綯い交ぜになった、息を呑む悲鳴。

「……お、」
けらけらと笑う>>706の肩に合わせるように震える声が、

「おにい」

「さま」

嘘でしょう、と戦慄いた。


937 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:49:20.69 ID:uTj/nRQ0 Be:
「ひひ、ひはは、あはははは!そうだ!そうだよ!!ははははは!」
混乱し忌避すべき真実に正面から迫られ涙さえ浮かべる魔物に、
身を屈め偽りのカラクリに抱きつく男が、
嘘じゃねーし、と嘲る。

それは醜かった。
それは忌わしかった。
それはおぞましかった。
しかし、それは―――

美しかった。

紫色の顔。
頬を走る赤い線。
ヘルメットのような白い頭。
耳にある四角い穴。
額の上から登頂を伝い後頭部へ流れる青い出っ張り。
形よく尖った鼻。
閉ざした口。

恋人、と呼ばれたその形骸ともつかぬ存在は、
クウラ改、と呼ばれ愛しいひとの孤独を和らげるためにあるのだと告げられたはずの存在は、


「やっと、ああ。やっとだ」

狂人がつるりとした頬をなぞる。
なぞられた魔物はぴくりともしない。

「ようやく」

熱っぽく粘着質に狂人が魔物に語りかける。
操られた魔物は何も映さぬ目を狂人に向けている。

「アンタを掴まえられる」


クウラ、と。>>706に呼ばれた。

愛しいひとそのものの名で、魔物は狂人に縛られていた。


938 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 13:57:28.00 ID:uTj/nRQ0 Be:
「なあ、フリーザって言ったよな、あんた」

ばちん。
肩甲骨の辺りを止めてあったバックルが外れた。

「あんたさ、こんなにもクウラと反対だ」

ばちん。ばちん。ばちん。ばちん。
始めの一つが契機となり次々と要所に締められていたベルトが弾ける。

「反対って事はさ、ひっくり返ってるって事じゃね?」

「ひっくり返ってるってさ、心がさ、クウラの」
「あんたが、クウラの心でさあ」

「あんたをクウラの中にいれれば、体だけじゃない」
「心が、クウラの、気持ちが、手に入るんじゃねえ?」

矮小でありながらも何という圧力だろうか。
フリーザは息を呑みながら>>706から後じさり、遠ざかろうとした。
半歩で留まったのはプライドのためだろうか。

丸裸になった魔物はフリーザにも勝るほど見事に引き締まった筋骨。

人間には到底敵わない芸術性を持って見る者を圧倒せしめる姿が、
鏡のように対をなす弟―――フリーザへ気をやらぬままに佇む。


939 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 14:03:02.66 ID:uTj/nRQ0 Be:
ただ、一つだけ。
目の前の白とは違和があった。
自由を奪い、しかし蠱惑さを欠片ほども損なわず、ぴったりと宛がわれている、それ。
銀色をした、首にある、それ。
フリーザの視線は自然に『それ』へ引き寄せられる。

>>129「な……何なんだ、あれは」
火を消す策を労じていた>>129が、思わず精製石を取りこぼす。
渡された魔力の石を砕いて被服の奥に潜らせ、胸に溶かし込むフードの矮躯が振り向いた。

>>464「―――猛獣、使い、の、首輪」
餃子「お兄さん!」
>>464「まさか、お前が、持ってた、のか」
天さん「おい、まだ喋るな」
>>129「……どういう代物なんだい?」
餃子「しずかにしてて!」
>>464「黙ってろ、ちび」
餃子「!」

天さんと餃子の静止を押しとどめ、>>464は口を開いた。

>>464「ひとたび、輪を掛け、対の、輪にて、戒めれば、いかなる凶暴な、獣も」

切れ切れの声を荒い息の合間に出して言う。

>>464「頭を、垂れて、」

ぜひ、と、一際嫌な呼吸音が耳をつく。

>>464「主に忠実な、道具と、なる」

言い終わるや否や>>464の顔が苦渋に満ちた。

??「そんな……!」


941 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 14:11:28.45 ID:uTj/nRQ0 Be:
もし、今、この場で聞いたのでなく、もっと別の。
例えば恙無く過ごしていた薬店であるとか、
店を閉じた後に行った酒屋などで知ったのであれば、
>>129は間違いなく「それは便利だ」と笑ったであろう。

しかし。
ここにいるのは、ここにあるのは、忌わしい現実でしかない。

喉がカラカラに渇いている。
にも拘らず、唾を飲み込む仕草をして、喉の粘膜が張りついた。

>>706は軽薄な笑みを浮かべたまま愛しいクウラの指に自らの手を絡ませている。
それを目の当たりにしたフリーザが呆然とした顔を引き攣らせた。

フリーザ「お離れなさい」
>>706「何で」
フリーザ「……お兄様から離れなさい、この薄汚い虫けらがッ!!」

ビ、と爪の先から眩い光線が放たれる。
二発、三発。次第に大きくなり、もはや線というよりも弾だ。
フリーザの腕が置かれる仕草から段々と振りかぶるようになっていく。
刹那ですら長いほど短い、
網膜に焼き付く残像でようやく認識できるほどの早さで一直線に>>706を狙ったそれは
操られたクウラによってほとんどが防がれ、
>>706には全身の1%にも満たない程度の傷を付けるに留まった。
だが、慄いていた先程とは違い、フリーザは頬を緩ませて残忍に口角を吊り上げた。
それこそが望むべき結果だったからである。

>>706の受けた傷。それは、

>>706「ッぐ、ぅ―――!!」
糸の垂れたリングの嵌っていた指のある、手が

丸ごと。


942 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 14:12:23.76 ID:uTj/nRQ0 Be:
フリーザ「器具で操られているのなら、そんなもの無くしてしまえばいい」
ばたばたと鮮血を零す手首。痙攣する体を抑えるように顎を噛み締めた>>706。
対してフリーザは晴れがましい表情でクウラを仰ぎ見る。
フリーザ「ねえ、そうでしょう?お兄様」

今し方の冷酷さなど微塵も感じさない、にこにことした柔らかい表情。
帰りましょうね、とフリーザは言った。
お父様も待っていますよ、また三人で暮らしましょうね、と、

言い終わるか否か。その笑顔が凍りついた。


>>706「ぐ、ぅうひ、ひ、バカじゃねーの」
>>706「指輪?ひはは、そんな大切なモン、わざわざ表に出しておくかよ」

紫の魔物はただそこにある現実を映している。
その目は何も思っていない。

紫色の手が、白い腹を突き破り、背中へと突き抜けていた。



                    To be continued.



943 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/11/21(金) 14:16:15.97 ID:uTj/nRQ0 Be:
今後の展開
A・ライトに
B・シビアに
C・鬱
D・甘く
E・巻いていく

視点
F・>>129
G・>>464
H・>>706
I・天さん
J・餃子
K・フリーザ
L・ローブの子
M・>>679(場面変わる)

14 : 12 : 38 | 129マジュニア 【書き手が>>1以外】 | page top↑
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プロフィール

Author:picoma
VIPに投稿された「ピッコロと俺の結婚生活」から派生したお話のまとめサイトです。
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お話を連続して読むためだけの目的で作成していますので、途中のレスなどは省かれています。
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