むかし、ある国に機械の兵隊がいました。
つい先日、作られたばかりの機械人形です。
その兵隊は全身機械で、表面だけは特殊合成素材で人間に似せてありましたから
外見だけなら、まず彼を機械だと思う人はいないでしょう
それぐらい、精巧な機械の兵隊でした。
機械の兵隊は、作られてから初めて目を覚ましたとき
「死ぬことのない機械の兵か、これで勝機は我が国にある」
と、手を叩きながら、髭の将校がうれしそうな声を上げているのを聞きました。
これが、兵隊がこの世で初めて聞いた最初の言葉となりました。
その日はその国の戦争の開戦日で、機械の兵士は自分がその戦争の駒だっと目覚めた瞬間から理解したのです。
さて、起動させられた機械の兵隊は、広い軍舎の広間に連れて行かれました。
その軍舎にはいろんな人がいました。
えらそうな将校
様々な兵士
武器商人
メカニック
……
でも、特に目を引くのは小さな医療スタッフでした。
他が屈強な軍人たちや大人達の中
背格好は小中学生程度で、肌は鮮やかなエメラルドグリーンの可愛らしいナメックでした。
236 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2008/10/15(水) 00:17:44.51 ID:JqAuBADO Be:
ナメックである彼は、元来争いを好まない性質なのですが
触れると人の傷を癒せるという特殊な能力を持っていたため、半ば強制的に従軍させられて来たのです。
名をデンデと言いました。
デンデは軍服ではなく、白い、医療スタッフの制服を着ていました。
胸には、医療スタッフであることを表す星のバッジをつけて。
甲斐甲斐しく怪我人たちを癒すその姿に
機械の兵隊は、ひとめでデンデを好きになりました。
でも、機械である彼には医療スタッフなんてまったくかかわることのない存在です
それは、彼自身が一番よくしっていました
なので、機械の兵隊は、自分の中に生まれた感情を無視し、ぴしっと背筋を伸ばして一般兵隊と同じようにただただ将校たちの長い話が終わるのを待っていました。
その夜
軍舎ではまるでお祭り騒ぎのような宴が開かれました
戦争が始まったばかりだというのに、のんきなものです
ドンチャン騒ぎになど興味のない機械の兵隊は、雑踏から少し離れた場所で長椅子に腰掛けぼんやりと騒がしい宴を眺めていました。
237 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2008/10/15(水) 00:19:36.51 ID:JqAuBADO Be:
「こんばんは」
「…」
「今日入った新しい兵隊さんですよね?」
機械の兵隊に声をかけてきたのは、あの小さな医療スタッフでした
機械の兵隊は、胸のモーターに沸き上がる機械らしくないドキドキした感情を押さえ込み
通常と何一つ変わらない無表情でデンデに接することにしました
こんな邪な感情を、悟られてはならないと思ったからです。
「宴に、参加しないんですか?」
「騒がしいのは苦手なもので、私は参加しません。」
「ふふふ、騒がしいのは、ぼくもあんまり好きじゃありません」
「…」
「隣、いいですか?」
「どうぞ」
続く・・・。