前スレ:
ヤンデレ番外編・記憶喪失本編(ややこしいな!)続き471 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 20:34:07.10 ID:Lpt7Veco Be:
〜〜ヤンデレ番外編・記憶喪失本編(ややこしいな!)続きの続き〜〜
目が醒めたら>>1がいて、
抱きしめてくれていた。
頭が重い。
妙に視界が悪く、
ただ抱きしめてくれているぬくもりだけがリアルだ。
「おはよ、ピッコロさん」
ああ、
また、
いつもの夢か。
やさしい口づけ。
477 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 20:52:07.37 ID:Lpt7Veco Be:
「なんで泣くの」
悲しくなるくらいやさしい唇が離れて、囁かれた。
もう一度閉じていた目を開ける。
オレの頬を撫でてくれる手が、暖かい。
「…… いち、 」
「んー?」
悲しい。
お前はこんなにも優しくて、
いとしげにオレに触れてくれる。
溢れる涙をいたずらするように舐めて、
笑ってオレを抱きしめる。
悲しい。
かつては確かにこんな時間が流れていたのに。
もう、オレは、夢の中でしかそれを手に入れることは出来ない。
「泣いてばっか。目ー溶けちまうよ」
やさしい声。いつまでもいつまでも聞いていたい。
480 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 21:09:05.45 ID:Lpt7Veco Be:
「タオル絞って持ってくるっすね」
「ぁ、 」
ピッコロさんのぐしょぐしょの目元。
拭ってあげたくなって起き上がる。
そしたら、すごく小さく、聞き逃しちゃいそうなくれーの声が寂しそうに零れた。
あーやべ。離れられん。
慌ててもう一度抱きしめて、スキ、と言い聞かせる。
ピッコロさんは落ち着いてる。
だけどなんだかぼうっとしていて、
ぽろぽろ泣きながら俺を見ていた。
「ピッコロさん?」
「いち、 …」
俺の声が聞こえては…いるみてーだけど。
泣きすぎてぼーっとしちゃってんのかな。
タオルを取ってこられなかったから、手や口で涙を拭ってあげながら見つめる。
483 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 21:15:31.77 ID:Lpt7Veco Be:
「ピッコロさーん」
すげーやさしい気分だ。
まーさ、ほれた相手に優しくしたくなるのはとーぜんだよな。
嫌われない程度にいじめたくなるのもとーぜんだけど。
今はしねーよ。
「ピッコロさん、好き。な。ピッコロさんも俺のこと好きっしょ?ん?」
ピッコロさんのぼうっとした表情がちょっとだけ歪んだ。
「す、 き…… だ …」
すっげー嬉しい。胸がギューってなった。
なんかめちゃめちゃ幸せな気分になって、ピッコロさんを抱きしめる。
だけど、
「だが …、おまえは…… オレのことを、好いては、いない…」
485 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 21:25:33.19 ID:Lpt7Veco Be:
「え?」
びっくりした。
「俺の言葉解る?なー。好きだってば」
ピッコロさんが泣きながら首を振る。
だけど両腕が力なく持ち上がって、ぎゅう、って俺に抱きついてきた。
ちょっと痛い。元気なくてもピッコロさんは強いよな。
それも、こえーって思ってたけど、今はそうでもない。
「好きだってば。なー」
「すき…だ」
その言葉は、すごく嬉しい。だけど俺の言うこと信じてくれねーの?
抱きついて泣き続けるピッコロさんの頭を撫でる。
でも俺が悪いんだろうな。
ピッコロさんからしたら、勝手に忘れられてひどいこと言われてんだし。
「ピッコロさん、なあー。好きだって」
抱きしめたピッコロさんの体が震えて、やめてくれ、と囁かれた。
487 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 21:33:37.07 ID:Lpt7Veco Be:
「めざめたあとが、…つらくなる」
ピッコロさんが一所懸命俺を抱きしめて、
身を押し付けて、
何度もすきだ、って言ってくれた。
すきだ、いち、って何度も。
「ピッコロさん」
「すき、だ…」
ぽろぽろ泣きながら囁かれる言葉が、
だんだん嬉しくなくなってくる。
きつく抱きしめ返した。
「黙って」
「すきだ…」
488 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 21:47:29.52 ID:Lpt7Veco Be:
「 っ …う う、 …」
「好き。ピッコロさんが好きになった」
ピッコロさんの口を押さえつける。
悲しそうな声をもらしてピッコロさんが身じろぐ。
だけど手は離さない。
「これは夢じゃねーし。」
ピッコロさんが泣きじゃくる。
なんで泣くんだよ、って思うけど、
イライラしてるわけじゃない。
「もっかい一緒に暮らして欲しい。…ダメ?」
押さえつけてた口を開放する。
ピッコロさんが悲鳴みたいな息をついた。
「おねがい」
A・はい
B・いいえ
C・夢だし
D・いみわかんないし
493 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 22:08:17.92 ID:Lpt7Veco Be:
>>490 D→A
「なに …、 なにを いって ……」
体が震える。涙しかこぼれなかった。
夢じゃない?
夢ではないのならば、>>1がオレに、
こんな言葉をくれるはずがない。
わからない。
オレは>>1が愛してくれたオレではない。
あの頃のオレはこれほどには情けなくはなかった。
愛してもらえるわけがない。
好きだと言ってもらえるわけがないのだ。
「ピッコロさん、好き」
「 や、」
わからない。やめてくれ、
496 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 22:26:00.07 ID:Lpt7Veco Be:
こんな風にされてしまったら、また、
ありもしない未来を夢見てしまう。
強く強く抱きしめられている。
あの頃のように。
やさしい目。やめてくれ、見ないでくれ。
もう期待したくないのだ、
もう絶望したくないのだ。
自分が愛されやしないこと、
それくらい良くわかっている。
愛して欲しいと渇望している自分が、
ひどくみっともないということ、
それも解っている。
だから、もう、そんな風にしないでくれ。
オレの中の浅ましい部分がまた鎌首をもたげてくる、
また、欲しがってしまう、
お前の愛を。
「好き」
「 や め」
499 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 22:46:36.56 ID:Lpt7Veco Be:
夢じゃない?
オレが都合よく見ている夢じゃないのか?
抱きしめてくれているこの腕も、
すきだと、
またこの部屋に住んでも良いと、
言ってくれるこの言葉も、
夢ではないのか?
だとしたらありえない、どうして、
「ピッコロさん、聞こえてる?好き。夢じゃねーよ、な、信じて」
のどが震える。
しがみつく。
それから、慌てて手を離した、
愛されていないのに、縋るなんて、
500 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 22:48:38.28 ID:Lpt7Veco Be:
「好き」
その手を掴まれ、>>1の背に回される。
502 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 23:07:44.89 ID:Lpt7Veco Be:
「い、ち、 … 」
「ぎゅーってしてて」
腕が震えた。
俺を潰さねー程度にな、と笑いながら付け加える>>1の声は、やさしくて、
愛され、ているのではないかと
錯覚するような。
「好きになっちまったんだよ。だから傍にいて」
オレを抱きしめ直して、みっともなく泣き続ける目元に唇を触れさせて、
>>1が、繰り返す。
「傍にいてほしい。おねがい」
頷いた。
神経が燃え尽きてしまうのではないかと、感じた。
503 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 23:21:44.12 ID:Lpt7Veco Be:
もしもこれが夢だったり、
もしも「うそだ」と言われたら、
もうオレは本当におかしくなってしまうかも知れない。
体が震えた。
恐ろしい。
だが>>1が笑って、
うれしそうに、
「ありがとう」
頭が熱くなり体が火照る。
お前が、そんな風に笑ってくれるのなら、
……お前が、もしも喜んでくれたのなら、
壊れてしまおうがおかしくなってしまおうが構わない。
「もっとぎゅーってしてもらっていい?」
涙がこぼれた。
お前から、 そんな風に、 望んでもらえるだなんて。
504 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 23:41:39.73 ID:Lpt7Veco Be:
その夢は、醒めなかった。
いつまでも終わらなかった。
それでも不安だった。
>>1が仕事に出かけている間は。
だが、>>1は辛抱強かった。
本当だと、信じて欲しいと。
何度も繰り返し言い聞かせてくれるやさしい声。
もう一度共に暮らし始めてほどなく、涙は止まった。
506 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/13(月) 23:48:29.48 ID:Lpt7Veco Be:
「夢じゃないんだな」
口に出してみて、その言葉の陳腐さにいやな気分になった。
だが>>1は笑って抱きしめてくれる。
「そっすよ」
やさしい口付け。
かつて当たり前のようにオレに与えられていた、
そして今また、オレのものに、……
なった、それ。
「泣き止んでくれてうれしい」
やんわりと唇を食まれ、吐息と共に目を開ける。
乾いたオレの目元を撫でて、>>1が目を細める。
「次は笑って欲しい」
509 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/14(火) 00:04:08.35 ID:XkVxZQco Be:
くすぐったい気持ちが、オレの心をやわらかく撫でた。
オレもお前の笑顔が好きだ。
お前が、嬉しそうに笑っているのを見るのが好きだ。
お前も同じように思ってくれているのだろうか。
もしそうだとしたら、幸せだ。
必死に言い聞かせようとしていた、いびつな幸せの形ではない。
ほんとうに、幸せだ、かつてオレがお前の傍でそう感じていたように。
穏やかな日々が、もう暫くの間、続いた。
516 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/10/14(火) 00:17:20.86 ID:XkVxZQco Be:
>>1が、
記憶を、取り戻そうとしない。
そのことが、……気になった。
だが、愛してくれた。
新しく、愛しなおしてくれた。
やさしくしてくれる。
しかし、……記憶を取り戻そうとはしないのだ。
オレと過ごした過去の思い出を。
「ピッコロさんただいま!」
だが、かつてのように嬉しげにドアを開ける>>1に、
そのことを言い出す勇気が、出ないまま。
愛される、愛していてもいい日々の喜びに浸っていた。
つづく!