>>1「ピッコロさーん!」
ピッコロ「ああ」
主人公「おはよう」
ピッコロ「おはよう」
>>1「ピッコロさん今日もピシッとしてる!着衣に一寸の乱れもねえ!さすが!!」
ピッコロ「……お前は今日も制服を制服らしく着ていないな」
主人公「もっと注意してやってしてやって」
ピッコロ「まあ…今更だな。お前らしい」
主人公「え!!!!スルーなのかよ!!!!」
>>1「褒められたwwwwwwwwwwwwwwwwww」
主人公「でも褒めてもいねーよ!!!!!!」
539 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 00:54:52.89 ID:v5TVfdUo Be:
始まったばかりの夏の夜。
二人で眺めた花火の光。
この夏、俺のまぶたにはずうっとその光の尻尾がちらちら燃えていて、
なんだかとっても苦しかった。
こっそり盗み見た花火に照らされる横顔。
唇に触れたピッコロさんの手のひら。
『オレとお前は、友人だろう』
―オレはお前と……ずっと、友人でいたいと思っている―
きっと、ピッコロさんは、
俺の言葉を拒絶する為に触れた手のひらに
俺が泣きたいくらい嬉しくなっちゃうこととか、
まだ帰りたくないの一言に
俺の心がぐちゃぐちゃになっちまったこととか、
『友人』って言葉が
だいじすぎて、うれしすぎて、こわせなくて、
どうしようもなく手を触れることも出来ないたからものとして
俺の心に居座っちゃって、俺はそれを壊せないから
身動きできなくなっちまったこととか、
解ってないんだ。
542 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:05:32.06 ID:v5TVfdUo Be:
我慢してようって思った。
いや、ほんとはずっと前から解ってた。
我慢してたほうがいいって。
解ってたけど我慢出来なかったのは俺がワガママだからだ。
「友人」よりもっとずっとピッコロさんの傍にいたくなった。
だけど、あの夜に。
花火の夜に、やっと、
このままがいい。このままじゃないとダメだって、
やっと解った。
あの日の花火の熱は未だに俺の胸をたまに焦がすけど、
上手に、我慢出来ていると思う。
我慢するのは、ほんとは、俺、そんなに下手じゃないはずだ。
543 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:09:44.29 ID:v5TVfdUo Be:
A・文化祭(せつなげに)
B・屋上で(さわやかに)
C・保健室で(!)
552 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:30:08.35 ID:v5TVfdUo Be:
>>B・屋上で(さわやかに)
頬に当たる風が気持ちよかった。
運動部の張り切りすぎて笑えるくらいの掛け声。
最近は夜が早い。
さっき授業が終わったばっかりなのにもう夕焼けだ。
……ピッコロさんはあれから何も言わない。
俺たちは全然変わらない。
良かった、間に合ったんだ、
……俺がずうっと黙ってたらなんでもねえトモダチのまんまだ。
すっげー嬉しい。すっげー嬉しい。
本当に良かった。本当に良かった。
うん。 良かった。
ばたばたと階段を上る足音が聞こえてきた。
グラウンドの場所の足りない運動部かな?と思いながら、
教室に戻ることにする。
多分待たれてる。
いつもどおりの俺で笑うために、ちょっとだけ、1人になりたかっただけだ。
ピッコロさんは友達。
一緒に帰りたくねーわけがない。
553 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:31:36.09 ID:v5TVfdUo Be:
「>>1」
扉に引き返そうとした俺を見下ろして、
聞き慣れた声が呼びかける。
見なくてもすぐ解る。
555 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:37:40.37 ID:v5TVfdUo Be:
A・主人公
B・ピッコロさん
C・ほかのともだち
558 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:44:55.45 ID:v5TVfdUo Be:
>>556 B・ピッコロさん
誰も守っていない規定どおりのスカート丈。
ピッコロさんが俺の前で立ち止まると、
空気をふくんでプリーツがふわりと舞った。
笑う。
「あーピッコロさん!!お迎え来てくれたのwwwwww」
「探したぞ」
「わっりわっりwwwwwwww今もどるとこだったwwwwwwww」
ふんわり微かに夕陽に照らされて色づく緑の肌が、
いつもより瑞々しく感じられて、きゅー、って胸が痛くなった。
ピッコロさんはどこもかしこもキレイだ。
俺とは全然違う。
「…何か見ていたのか?」
ピッコロさんが柵の向こうに目をやる。
運動部の掛け声を聞きながら、少し強い屋上の風にふわふわと揺れる
ピッコロさんのスカートを、俺は、見ていた。
561 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 01:55:49.94 ID:v5TVfdUo Be:
「や、なんもー。体育教官室に寄って帰る途中になんとなく」
「そうか」
夕陽の色が交わらないで弾けるみたいに、
ピッコロさんのすらりとした指の上で踊っている。
音も無く持ち上がったピッコロさんの手が、俺へと近づいて来て、
ぴく、って躊躇うみたいに止まった。
ピッコロさんを見た。
ピッコロさんはピッコロさんの指を見ていた。
それから、ふーいってピッコロさんの手が回りこんで、
俺の肩を軽く叩いてさっと離れる。
「帰ろう」
促す言葉。そのための仕草。
ただそれだけで俺は肩からじーんと喜びが染みこんで行く。
「そーだなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
だめだ。ピッコロさんとトモダチでいるなら、ずうっと友達でいるなら、
こんな風にピッコロさんを感じちゃだめだ。
574 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 02:31:14.05 ID:v5TVfdUo Be:
「日が落ちんの早くなったなあ」
「そうだな」
帰ろう、と声を掛けたはずのピッコロさんが、
その場から動かない。
だから俺もなんとなく立ち止まったまま、
風に揺れるピッコロさんのスカートを眺めていた。
ピッコロさんはスカートを履いているけど、女じゃない。
俺はスカートの下にジャージを履いているけど、女だ。
ほんとはスカートなんかじゃーなくてさ、
ピッコロさんの顔が見たい。
だけどぜってー、ピッコロさんの顔見たら、
ドキドキする。
今の俺はピッコロさんになるたけどきどきしないようにしなきゃ。
だから我慢してた。
夕陽の光を乗せたピッコロさんの目の色とか、
見つめたかったけど我慢してた。
ひらひら。
スカートが揺れて、
ピッコロさんのきれいな膝が、たまに覗く。
588 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 02:59:31.09 ID:v5TVfdUo Be:
とってもキレイなひざだ。人間には在り得ない、まーるくて、かわいい。
ピッコロさんのどこもかしこもがカンペキにキレイだ。
勿論、俺にとってだけど。
ちらり、ちら、とスカートから覗く膝も、夕陽にきらきら輝いている。
ピッコロさんの視線を感じたような気がして、
一度目を強く閉じてから、次に開けたときには目をそっぽに向けた。
「……>>1」
「なんすか〜」
なんだか名前を呼ばれただけで、耳が熱くなるような気がした。
だから、必要以上にふざけた口調で返事を返す。
ピッコロさんと、今、まじめな話はしたくなかった。
「 ……寒く 、ないか」
「え?いや全然へーき!!」
「手を
「あー暗くなりそうじゃん!帰ろうぜ〜」
594 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 03:20:32.23 ID:v5TVfdUo Be:
人体って結構丈夫だなあ、なんて、
俺はぼんやり考えながらピッコロさんを追い越して扉に向かった。
―手を―
手を?
手を。
その先を勝手に自分に都合よく想像して、勝手にどきどきして、
心臓が引き絞られて死ぬかと思った。
でも生きてた。
こんなに心臓がドキドキして辛いのに。
頭の中がピッコロさんだらけで、頭おかしくなっちゃったみたいなのに。
俺びっくりするくらい健康だよなー、ほんと人間って丈夫。
ぶったおれちまいたいけど。
あーだめだピッコロさん心配するもんな、俺丈夫でよかった。
「い、ち」
「主人公はもう帰っちまったんかなーー?」
「……ああ」
扉を潜った頃に、ピッコロさんも後を付いてくる気配がした。
声はいつも通りだった。
いつも通り俺をときめかせる。
600 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 03:33:10.68 ID:v5TVfdUo Be:
「そっかーじゃあ今日は2人かー」
「…ああ」
いつも通りだ。
いつも通りだってことに、なんで俺はもやもやしちまうんだろう。
くそ。こんな煮え切らない自分に腹が立つ。
階段を下りて教室に入り、鞄を取って下校する。
げらげら笑いながら何でもない会話を、
俺だっていつも通りにこなしながら門を出た。
「ピッコロさん」
手を。
手を、どうするって、いうつもりだったんだ?
「手…つなご」
604 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 03:42:12.65 ID:v5TVfdUo Be:
言っちまってから、滅茶苦茶顔が熱くなった。
大丈夫。大丈夫。
終わりかけの夕方は薄暗くなって来てる。
ピッコロさんの緑色のきれいな肌も、青ざめて見えるほど。
だから俺の顔の色なんてわかるわけがない。
手をつなぐなんて、
ともだちならおかしくない。
―手を―
ピッコロさんのあの言葉だって、きっと、
きっと。
「いや 止めておこう」
608 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 03:54:17.98 ID:v5TVfdUo Be:
こういうときってほんとうに、
背筋が冷たくなる。血が凍る。
それから沢山汗が噴出して来て、
めちゃくちゃなきたい気分になっちまったから、笑った。
「ひっでえwwwwwwwwwwけちwwwwwwwwwwどけちwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「……」
ピッコロさんはいつもの表情で俺の隣に並んだ。
俺の側の手に、鞄をぎゅっと握っている。
俺のと違っていっぱい教科書の詰まったカバンはすごく重そうだ。
ピッコロさんのこぶしも、だから、ぎゅって力が入ってる。
やっぱり泣きそうだから前を見た。
ナナメ上を見た。
あんまり星の多くない空だけど、ひとつふたつ、光り始めてる。
「うわーもう夜じゃん。ほんと秋だなーはえー」
「そうだな」
一所懸命忘れようとする。だけど、
忘れようとすればするほど頭の中を駆け巡る言葉。
―止めておこう―
613 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:06:23.97 ID:v5TVfdUo Be:
手を、繋ごうとか、握ろうとか、ほんとバカみてー、
ピッコロさんからそんなこと、思うハズねーのに。
いつも俺から、 俺のほうから。
ピッコロさんにそゆことしてーって思ってるのは俺だけなのに、
何勘違いしてんだろバカだ。めっちゃくちゃ恥ずかしい。
恥ずかしくて泣ける。
泣かねーけどさ、ピッコロさんが隣にいるから。
主人公の話とか、教師の話とか。
げらげらひーひー笑いながら歩く。
ピッコロさんも少し笑ってくれた気がして、
だけど多分俺の気のせいで恥ずかしい思い込みだろうから、
喜ばないでおいた。
「そんじゃピッコロさんまたあっしたー」
「ああ」
分かれ道で頷くピッコロさんに、
ぶんぶん鞄を振って笑いかけた。
「暗いから気ぃつけて帰れよ!」
615 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:15:55.72 ID:v5TVfdUo Be:
A・切なく終わるよ
B・翻弄されるよ
619 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:25:48.41 ID:v5TVfdUo Be:
>>616 B・翻弄されるよ
きびすを返した。早足で帰ろうと思った。
ピッコロさんから離れたら走っちゃおうと思った。
早く家に帰って部屋に入って一人になりたかった。
「うあ」
歩き出したら、後ろに引っ張られるような感覚。
びっくりして振り返ると、肩に引っ掛けるように乗せたかばんを、
ピッコロさんが掴んでいた。
「え」
ぽかんとしてしまう。
ピッコロさんを見上げる。
もう、充分に夜だ。まだ少しだけ明るいけど。
ちかちかする外灯の光がうっすら届いて、
ピッコロさんの表情は、見えた。
「…ピッコロさん ?」
621 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:31:32.83 ID:v5TVfdUo Be:
下唇を、噛んでいた。
だけどあとは無表情、だったと思う。
無表情とは違うかも知れない。
どうとも、言えない、表情。
「……」
「ピッコロさん?なんだよ?」
掴まれていたかばんがするりと離された。
なんとなくそのかばんを下ろしながらピッコロさんを見上げる。
泣きたい気分はまだ続いてた。
はずかしかった。ピッコロさんの傍から早く離れたい。
だけど、こんな顔したピッコロさんを放り出すなんて出来ねえし。
「ピッコロさん?」
「…………」
表情は動かないまま、
キレイな赤い目が、動く。
俺を見て、
ふいと離れる。
あ、俺、顔大丈夫かな。
気ぃ抜いてたのに気付いて、笑いなおした。
622 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:34:52.36 ID:v5TVfdUo Be:
「ピーッコロさあん?」
「 、 」
何かを話し掛けたピッコロさんが、ふっと息を吐いた。
俺の方を見ないまま開く唇。
その中身の色まで、外灯の光は照らしゃしねえ。
「……手、を」
ずきっ、て胸が痛くなった。
ほんと洒落にならない。痛い。
その場にしゃがみこみたくなったけど、我慢した。
我慢は得意だ。かばんを握った手に、ぎゅーって力が入る。
「手?が、どーかした?」
625 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:38:45.51 ID:v5TVfdUo Be:
暫くピッコロさんが黙り込む。
暫く、っつっても、多分数秒くらいだ。
すっげー長く感じたんだよ。
胸が痛い。恥ずかしい。泣くの我慢してたせいで頭も痛い。
「……えっ」
ピッコロさんが黙ったまま、かばん持ってねーほうの俺の手を、
ぎゅって掴む。
握る、とか繋ぐ、じゃなくて。
ぎゅって。掴まれた。
627 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:46:34.76 ID:v5TVfdUo Be:
「……」
「な、んだよー …?」
ピッコロさんの手。
ほんのちょっとだけ痛かったけど、でも、
すっげえ…嬉しくて。
久し振りのピッコロさんの手。
心臓が違う意味で痛くなるくらい、ばくばくうるさく鳴った。
頭が混乱する。
なんだよ。なんだよ。なんだよ。
どう思えば良いのか解んなくて、
でも泣いちゃだめだって。泣くな泣くなって必死に繰り返す。
ピッコロさんの手があったけえ。
あったけえよ。
うれしい。
だめだ。
今にも涙が零れっちまいそで、動けなくなる。
629 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 04:53:46.55 ID:v5TVfdUo Be:
「……屋上で」
びく、って肩が震えちまった。めっちゃ恥ずかしい。
ピッコロさんの顔とかもう見てらんなくて、
ぎゅーって握られてる俺の手。
ピッコロさんの手。
その辺りを見てた。つーか、見ていたかった。
繋がってる。触れ合ってる。ピッコロさんと。
「 してみようと…思ったら、……逃げ、られた…ので」
血が頭に昇る音が聞こえたような気すらした。
「…… 一度断ってやろうと、思った、だけだ……意地を張った、」
握られてる俺の手が、指先が震えてる。めっちゃ恥ずかしい何これ。
「…すまな …かった」
632 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 05:01:56.98 ID:v5TVfdUo Be:
ピッコロさんが、謝ってる。
なんも悪くねーのに。俺が、テンパッたのが悪ぃーのに。
どうしよう。どうしたらいんだろ。
頭の中がぐるぐるした。
鞄を落とした。
ばたっと音が立つ。
フリーになったその手で、俺の手をギュってしてるピッコロさんの手を、
ぎゅって、した。
「俺!…俺が…さ、最初に避けた?のが、悪 …ッ から、」
やっべ。なんかどもった。
妙に喋りづらい。
ひくっ、て、胸が震えて、言葉が出て来ない。
633 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 05:07:45.93 ID:v5TVfdUo Be:
>>1「手っ、…つなぐの、やじゃ、ねー …?」
ピッコロ「……いやな、…わけがないだろう」
>>1「 ほんと」
ピッコロ「ああ…」
>>1「これ、からも、 手、 」
ピッコロ「……」
>>1「つないで、 い …?」
ピッコロ「ああ」
ピッコロ「…友人だろう。当たり前だ」
635 ◆PICorehgzw [sage] Date:2008/09/22(月) 05:16:17.08 ID:v5TVfdUo Be:
ピッコロさんの前で泣かないですんで、よかった。
笑えてたかまで気ーまわんなかったけど
また、明日なって
ふつうに、別れて、
ふつうに、うちに帰った。
もう大丈夫。
ピッコロさんに掴まれていた手を抱き締めながら、
ベッドに埋もれて、しゃくり上げる。
なんで泣いてる?
ピッコロさんはトモダチ。それでいーじゃん。
俺もそうでいたい。大好きなともだち。
泣く必要なんて全然ねーし。
一所懸命自分に言い聞かせて、
明日までに我慢のやり方を思い出さねーといけない。
ピッコロさんとともだちでいるために。
おしまい。
その後・・・。