581 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:36:13.47 ID:oaXlCBg0 Be:
なかったことにしてください
583 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:44:52.85 ID:oaXlCBg0 Be:
>>1「ヌフフフフッ!」
>>1「さあ覚悟してもらうっすよ魔王……」
>>1「いや、ピッコロさん!!!1!」
584 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:45:21.25 ID:oaXlCBg0 Be:
ピッコロ「うう……クソッ」
ピッコロ「きさま、へ、変な技ばっかり仕掛けてきやがってッ!」
ピッコロ「ああああんなの呪文にも攻撃にもなかったぞ!!」
>>1「フヒッフヒヒヒヒッwwwwwwwwwwww」
ピッコロ「ぁあッ ひ、卑怯だ……ッ ふァ」
585 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:46:23.44 ID:oaXlCBg0 Be:
あはんうふんしました。
ピッコロ「くやしいッ……でもビクンビクン」
>>1「ピッコロさん!貴方は俺に倒されたんすよ!」
>>1「ええそうですとも!貴方は!俺に!倒されたんす!!」
>>1「大事な事だからもう一回くらい言っておこうかな」
ピッコロ「ええい鬱陶しいーッ!!!」
>>1「あッ!ダメダメ!!俺レベルEじゃねえやレベル5くらいなんすから!」
>>1「まかんこーさっぽーとか食らったら一発で死んじゃうっすぎゃー!!!」
587 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:53:10.03 ID:oaXlCBg0 Be:
ピッコロ「ぜはー、ぜはー、」
>>1「何とか回避!愛の奇跡!!!!」
ピッコロ「も、やだもう」
>>1「さあさあいざやメイクラヴ!ヒャッハー!」
ピッコロ「できる訳がないだろう!オレは魔王だぞ!」
>>1「やだなあピッコロさん」
>>1「ピッコロさんが魔王だなんて、どうして分かるんです?」
ピッコロ「な、何を」
>>1「だってそうでしょう?貴方は一度も城の外に出ていない」
ピッコロ「ああ、」
>>1「魔王の城に住んでいて、たくさんの魔物に守られている貴方が、」
>>1「自らを魔王と称して初めて、分かるんすよ」
>>1「魔王がピッコロさんなんだって」
ピッコロ「……」
588 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 15:54:46.64 ID:oaXlCBg0 Be:
>>1「魔王だって名乗らないピッコロさんは、ただのピッコロさんっす」
ピッコロ「……そ、うか」
>>1「そんで、ピッコロさんが魔王だって事、俺以外は誰も知らない」
ピッコロ「しかし、お前以外のヒトは、俺を見て」
>>1「大丈夫ですってwwwwwwwwww」
ピッコロ「大丈夫なはずがない」
>>1「他人からすれば単にちょっと強面で、顔色の悪いヒトっすからwwwwwwwwww」
ピッコロ「……」
>>1「ああんwwwwwwww耳っこ垂れちょーwwwwwwかわいかwwめごかwwむぞらしかwwwwwwwwww」
ピッコロ「どこの方言だそれは」
590 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 16:01:48.42 ID:oaXlCBg0 Be:
>>1「じゃ、行きましょうか」
ピッコロ「どこへだ」
>>1「どこでもいいじゃねっすか」
ピッコロ「いい、のか?」
>>1「いんです」
ピッコロ「そうか」
593 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 16:07:54.48 ID:oaXlCBg0 Be:
はてさて、反論はさておいて
ともあれ魔王は倒された。
平凡な一人の男によって。
平凡であった男の、愛という真心によって。
それから彼らがどうなったやら、我々にはとんと知る術はない。
王からの褒美も受けず、ふっつりと消息を絶った彼と、
彼の連れた恐ろしい巨躯をした化け物の、二人連れの事なぞは。
ただ微かなる風の噂をして、
いつかどこかの時代の中に、
とあるひなびた小さな村の、
山近くに外れた小さな家で、
一人の凡庸そうな男が笑い、
ひとつの大きな緑色と語り、
慎ましくも幸せに暮らしておったそうだと聞き及ぶ。
597 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 16:23:55.23 ID:oaXlCBg0 Be:
そんな話も今は昔。
ここにあるのは台座に刺さる、すらりと怜悧な勇者の剣。
穿った剣を見下ろすは、すっくと立った一人の男。
全ての物語は今、この瞬間から始まる。
小さな小さな魔王様
僕はニセモノ勇者様
599 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 16:28:27.87 ID:oaXlCBg0 Be:
平凡な男であった>>1は、
時代が過ぎると共にその容姿や真実行った言動を忘れられ、
いくつかの善行を偉業と塗り固められ、偉大なる英雄と祀り上げられた。
歴史には、ただ、『勇者は魔王を倒した』と、そればかりが記されている。
後に残ったのは決して生身の>>1ではなく、
>>1という名が付けられた、煌びやかな勇者の形骸であった。
>>1の持ち物とされる物は、
全てが「伝説の、」と大仰な冠を抱かされて各地に散ばり鎮座している。
実は、との前置がある紛い物も、数え切れぬほど存在する。
―――ここにある剣も、或いは紛い物に過ぎぬやも知れぬ。
しかし人々は懐疑を知らず、
彼が所持していたかどうかも怪しいその剣こそ、
真なる勇者の証であると誉めそやした。
何人たりとも引き抜けぬ、
ぴくりとも動かぬその柄を、今日も今日とて誰かが握る。
過去に勇者が齎した平和が、今再び脅かされているために。
602 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 16:40:04.63 ID:oaXlCBg0 Be:
「下らないね」
そう嘯いたのは、伝説の剣を売り物にした町で商売を営む男であった。
彼の名は>>129。
商売道具は専ら薬草や特殊石、自ら調合した薬などなど。
伝説の剣を売り物にした、賑わう町の目抜き通りに店を開いている。
薬草と毒草を見抜く目と、それらから薬を調合する腕は確かである。
のみならず彼の背はするりと高く、
彼のかんばせは食せば口の中がサァーサァーするフリスクのように涼やか。
それゆえ彼の店は人づてならずとも儲かり儲かり、
常に女性やそちらのケがある男性が複数人入れ替わり立ち変わりしておった。
イケメンしねばいいのに。
お陰で彼は存分に余裕のある貯蓄と
持って生まれたイケメンフェイスとビジネススマイルによって、
少しばかり退屈な、しかし羨まれるには充分な人生を、
何の憂いもなく順風満帆に過ごしておった、と、そういう訳だ。
リア充しねばいいのに。
彼はまた小難しい事を考えるのが常で、
故に世界が恐慌し退廃の道を歩もうと、
何れ勇者が現れてどうにかこうにかなるものだと思っておった。
そうでなくとも自らの世では、世界が滅びはしなかろうと。
608 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 17:07:00.39 ID:oaXlCBg0 Be:
「未来は過去の相似系に過ぎない」
「いつの世も戦争は繰り返されてきたし、終息している」
「そのたび束の間の平和を我々は甘受せしめた」
「だったら僕が動かなければならない必要も道理もありはしないさ」
「全ては螺旋階段のように、歴史と同じく変わり映えなどするものか」
「これからだって戦は起こり、終わるもの」
「それに一体何ができるだろうか。ただの店主である僕に?」
609 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 17:08:07.44 ID:oaXlCBg0 Be:
>>129が己の理論に満足し、小さく溜め息をつこうとしたその時である。
町の奥にある森の方から、わあ、とどよめきが伝わった。
何事かと店先から外へ顔を覗かせた>>129は、
「勇者様の誕生だ」という鬨の声を聞いた。
ふむ。勇者かい。実に結構だ。
そして、
「下らないね」
そううっそりと、嘯いたのだった。
610 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 17:11:29.91 ID:oaXlCBg0 Be:
彼は蛮勇や器量に沿わぬ愚行の類には興味がない。
むしろ、勇者が現れたと聞いて、即座に
「幾らの儲けなるだろうか」と考えている。
ざわめきは次第に増すばかり。
どうやら新しい勇者とやらは、
目抜き通りを堂々と闊歩しているらしい。
611 ◆QEojHReE0E [sage] Date:2008/08/03(日) 17:14:04.36 ID:oaXlCBg0 Be:
>>129は勇者がどんな容姿であるかを知らぬ。
どんな人物であるかも知らぬ。
もしも女性であるならば、
今まで培ってきた口八丁手八丁で口説き落として
店の上客にさせてやろうと商売人としての考えを抱いていた。
ざわざわざわり、
ざわざわり。
勇者と取り巻き参ります
ざわざわざわり、
ざわざわり。
>>129の店へ 着実に
そして運命の歯車が
キリキリキリと動き出す
辿り着くのは 破滅の道か
それとも 掴むは 栄光か
いやいや或いは今までと
変わらぬ暮らしに なるやも知れぬ
いずれにしても 知らぬ事
未来は誰にもわかりゃせん
ざわざわざわり、
ざわざわり。
ざわざわざわり、
ざわざわり。
続く。