119 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/06(日) 22:20:42.24 ID:SZolqyYo Be:
シーツの上に転がった>>1の腕が、
妙に白く見えた、
皮膚を押し上げてぼこりと這う青い血管。
管から伸びる針が突き刺さっている。
>>1が倒れたと、連絡が入り、
何をどうしたのか良く覚えていない。
気付けばブルマに背中を撫でられていて、
目の前に少し呆れたように笑う>>1が横たわっていて、
おおげさなんだから、とブルマが笑った。
―ただの過労よ、ちょっと頑張りすぎちゃったのね―
明日には退院できるようにするわ、と言い残して、ブルマは医者と話しに行った。
122 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/06(日) 22:26:42.94 ID:SZolqyYo Be:
「俺よりピッコロさんの方が倒れそうな顔してるっすよ」
いつも通りの声だと思った、だが、状況のせいだろうか。
少し弱まっているような気がして、思い込みなのかも知れないが、
落ち着かない。怖い。
「オレは……、オレは、」
眩暈や、嘔吐がどうの、と、話にのぼった。
オレは気付かなかった、そんなこと。
>>1はいつもいつも通りで、すぐに縋りたがるオレを受け止めてくれていたから。
オレは寄りかかってばかりで、ちっとも>>1の支えにはなれていない。
悔しかった、口惜しかった。
「ピッコロさん、心配かけてごめんな」
力なく首を振る。謝るべきはオレだ。
145 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 02:45:23.45 ID:DAeQUVAo Be:
オレよりずっと脆くて、壊れ易いただの人間だ。
戦士でもない、ひよわな。
「ピッコロさん?」
オレはもっと気遣うべきだった、どうして気付かなかったのか。
>>1はどうしてオレに言わなかったのか?
そんなこと、解る、オレが頼りないからだ。
「すまない」
僅かに声が震えてしまった。
途端に>>1が、表情を曇らせる。
「俺がわりーんすよ、ピッコロさん。もうそんなに若くねーのに張り切っちまったから」
また気を使わせてしまっている。
>>1の優しい声。
147 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 02:50:40.86 ID:DAeQUVAo Be:
ぽつ。ぷち。
点滴の雫が、膨らんだところに一滴ずつ落ちていく。
その音がオレの耳には良く届いて、聞きたくない、と思った。
「ピッコロさん、そんな顔しねーで、って」
抱きつきたい、と思った。
抱き締めて、体をこすり合わせて、安心したい、と。
確かにオレの腕の中に>>1がいると。
だが、細い一本の針がオレの勇気をくじく。
怖くて>>1に触れられない、
よわっちいこの体を少しでも揺らせば大変なことになるのではないかと。
「だいじょぶっすよ、大したことないんだから、本当に。」
「明日にはうち帰れるみたいだし。明日まで、会社休むから」
ね、いちんち一緒にのんびりしてくれるっすよね、と
穏やかな声で囁かれる。
オレが慰められてどうするというのだ。
149 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 02:54:53.65 ID:DAeQUVAo Be:
>>1が、幾ら優しくしてくれるとは言え、>>1は人間だ。
「>>1」
何か言おうとして、声が泣き声めいてしまって、止めた。
>>1が少し笑う。オレを安心させてくれようとしている、そんな笑いだ。
じわ、と涙が目尻から滲み、一つ零れてしまう。
慌ててそれを指先で拭った。
「だいじょぶっすよ」
A・「俺がピッコロさん置いて死ぬわけないっしょ」
B・「だから……泣かねえで。キスしたくなる」
C・「ブルマさん帰ってきちゃうっすよ、泣かないで」
154 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:02:28.21 ID:DAeQUVAo Be:
>>151 A
「俺がピッコロさん置いて死ぬわけないっしょ」
ビク、と背中が震えた。
うそつき、うそつきだ。
お前はいつかはオレを置いていくくせに、
「……ああ」
だが、言えなかった、恐ろしくて。
そう思っていたい、
……いちが、
……オレより先に逝ったあと、
自分がどうなってしまうのか恐ろしい。
ぱたぱたと涙が自分の手の甲に落ちた。
155 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:07:16.37 ID:DAeQUVAo Be:
ピッコロ「……っ、すまない、 すまない……」
俺「ピッコロさん……」
ピッコロ「辛いのは、お前なのに、」
俺「……」
ピッコロ「?!だめだ、起き上がっては」
俺「ん、」
ピッコロ「…………、いち」
俺「ピッコロさん震えてる」
ピッコロ「……っ、」
俺「もっと強く抱き締めてやれたらいいんすけどね」
ピッコロ「っ、う、」
俺「俺、ふつーの人でごめんな」
ピッコロ「……ッう、 く、」
俺「泣かねーで、ってば」
ピッコロ「すまな…い、」
ブルマ「……一日の入院だけでここまで盛り上がれる夫婦をあたしは他に知らないわ」
159 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:13:02.64 ID:DAeQUVAo Be:
俺「あwwwwwwwwwwww」
ブルマ「いーち君、寝てなさいって」
俺「さーせんwwwwwwwwwwwwww」
ピッコロ「……すまない」
ブルマ「ピッコロもメソメソしないのー」
ブルマ「ま、過労をナメちゃいけないんだけどさ」
ピッコロ「医者は、なんて」
ブルマ「んー、ま、大丈夫よ。明日はおうちでゆっくりなさいな」
ピッコロ「……大丈夫なのか」
ブルマ「もー、心配性ねえ」
俺「そこが可愛いんすけどね」
ブルマ「ここ、完全看護なんだけど……どうする?ピッコロは泊まりたいわよね?」
ピッコロ「!もちろんだ」
俺「え、帰ってもいっすよ?疲れるっしょ、ピッコロさんも」
ピッコロ「……だが、」
A・泊まる
B・帰る
166 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:18:21.16 ID:DAeQUVAo Be:
>>161 A・泊まる
ピッコロ「……泊まりたい」
俺「え、でも」
ブルマ「いいわよ、じゃあそう言っておくから。あ、ねえ>>1くん」
俺「はい」
ブルマ「サフの面倒見といてあげるわよ?よければ」
俺「女神降臨」
ブルマ「んじゃ鍵は明日、退院の時に返すわねー」
ピッコロ「すまない、……恩にきる」
ブルマ「これくらい気にしない気にしなーい」
俺「…んじゃ、ほんとありがとうございました」
ブルマ「いいのよ、ほんと体には気をつけなさいね」
俺「はい」
ピッコロ「……」
ピッコロ「……オレが泊まるのは、迷惑だったか?」
俺「え?」
168 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:22:13.51 ID:DAeQUVAo Be:
ピッコロ「……」
俺「そんなことあるわけないっしょ」
ピッコロ「……オレが傍にいると、安らげないか?」
俺「ばかだな」
ピッコロ「……帰らせたがった…じゃないか」
俺「ばかだな、……ピッコロさん」
ピッコロ「……」
俺「泣かねーで、もう」
ピッコロ「それでも、オレは、離れたく……なくて、」
俺「うん、嬉しい。可愛いっすよ、ピッコロさん」
ピッコロ「……かわいい、だなんて、」
ピッコロ「いわれたく、な…い」
169 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:23:41.49 ID:DAeQUVAo Be:
俺「どうして?」
ピッコロ「ッ……」
俺「ピッコロさん」
ピッコロ「オレは、おまえに、…庇護されたいわけじゃ」
俺「ん?」
ピッコロ「……」
172 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:26:35.21 ID:DAeQUVAo Be:
俺「……うん、あのな、ピッコロさん」
ピッコロ「……」
俺「可愛いって思っちまってるけど、俺はそういう意味で言ってるわけじゃなくて」
俺「ピッコロさんのこと、大事にしたい、守ってやりたいって思ってるけど」
俺「でもピッコロさんは、俺よりずっと強いじゃないっすか」
俺「俺なんかが守る、って言っていい人じゃないって思ってる」
俺「…ピッコロさん?」
ピッコロ「……」
俺「なんで首振るの?」
ピッコロ「……いち、」
俺「おいで」
ピッコロ「ッ、 ……」
俺「大丈夫だから」
173 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:29:33.84 ID:DAeQUVAo Be:
横たわったままの>>1の胸に、おずおずと体を、覆い被さるように寄せる。
針の刺さっていない方の腕が俺の首筋に触れて、
ターバンから覗く後頭部と、首を、何度も手のひらで撫でてくれる。
どく、どく、と、
>>1の心臓の音が伝わる。
少しだけ落ち着いた。
オレはどうして、こんなに我侭なのだろうか。
>>1に優しくしてほしがって、甘やかしてほしがっている、
庇護されたいと思っているのはオレじゃないか。
それなのに、そうされたくない、
オレは、>>1の支えになりたい、
なのになれない。
べったりと>>1に寄りかかっていたい、
だがそうしたくない、
胸が引き裂かれそうだった。
どくん、どくん。
175 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:35:47.40 ID:DAeQUVAo Be:
「ピッコロさん」
胸に触れさせた耳から、振動になって、>>1の声が少し篭って聞こえる。
もう片方の耳から聞こえるいつもの声と混ざって不思議な感じがした。
「心配かけてごめんな」
ぎゅ、と頭が抱かれた。
うすっぺらな>>1を潰してしまうんじゃないかと不安で、
体重を掛けないようにしながら、
甘えるように首を振って頭を擦り付けた。
「泊まってくれて嬉しい」
「!」
「……俺だってピッコロさんと離れたくなんて、ないっすよ」
抱きつきたい、縋りたい、と思った。
耐え難く体の芯が震える。
179 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:40:53.37 ID:DAeQUVAo Be:
「いち、」
自分の声が甘えている、と思った。
>>1は仕事じゃなくて、オレの相手に疲れてしまっているんじゃないか、
オレがこんなに、こんなに、
>>1を絶え間なく感じたがって、>>1が傍にいないと不安がるから、
そんなオレを重荷に感じているんじゃないか、
胸に込み上げる不安を、言葉にしないように必死に飲み込んだ。
「オレは、……オレは、」
「ピッコロさん、俺はね」
>>1の手は優しくオレの首をなでてくれる。
「ピッコロさんがいないと、ただの抜け殻みたいになっちまうよ」
180 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:44:25.19 ID:DAeQUVAo Be:
ピッコロ「……>>1?」
俺「ピッコロさんがいてくれるから、」
俺「……俺のうぬぼれじゃないよな?」
俺「ピッコロさんが俺を必要としてくれるから、」
俺「ひとらしく生きていけているんだと、思う」
ピッコロ「…………」
俺「ピッコロさん、だから」
俺「……俺の傍に、いて欲しい、もっと、ずっと、深く」
ピッコロ「……い…ち、」
俺「嫌かな?」
186 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:50:01.27 ID:DAeQUVAo Be:
涙が止まらなかった、
どうして>>1はいつも、オレの欲しい言葉をくれるのだろう。
そう言って欲しかった、オレが必要だと、オレを、>>1も、深く欲しがっていると。
>>1の胸をしとどに濡らすオレの涙はもう暫く止まりそうにない。
「ピッコロさん、……俺は多分ね、あなたが思ってるほど優しくない」
>>1が、少しだけ苦笑めいた気配を漏らす。
顔を上げようとして、ぎゅ、と首を抱かれたのでやめた。
「ただ、あなたのことが好きなだけで」
「……大切で、」
「ずっと傍にいてほしい、傍にいることを許して欲しい」
少しだけ、>>1の声が低くなる。
「あなたがいないと、生きていけない」
体が熱い、のどが渇いた。
幸せだ、幸せで、死んでしまうかも知れない、と思った。
188 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:51:39.66 ID:DAeQUVAo Be:
ピッコロ「>>1」
俺「うん」
ピッコロ「……いち」
俺「うん、ここにいるよ」
ピッコロ「…………っいて、くれ、」
俺「ずっとあなたの傍にいる」
189 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:51:48.87 ID:DAeQUVAo Be:
うそつき、うそつき、うそつき、
190 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:52:01.22 ID:DAeQUVAo Be:
お前はずっとはオレの傍にいてくれない、
191 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 03:53:27.03 ID:DAeQUVAo Be:
ああ、だけど。
ずっと傍にいてくれ、ずっとオレを離さないでいてくれ、
オレも、オレもなんだ、
お前がいないと、生きていけない。
「いち……」
オレの声は怖いほどかすれていた。
>>1の腕がオレを強く抱きしめてくれる。
おまえは、やさしい、残酷なほど。
うそつき、うそつき、うそつき、
だが、
だまされていたい、ずっと、ずっと。
196 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:01:18.37 ID:DAeQUVAo Be:
オレが泣き止むまで、>>1はずっと、優しくオレを撫でていてくれた。
優しい言葉をかけてくれた、
幸せだった。恐ろしいほどに幸せだった。
これほどに幸せにしてもらえるのならば、
どんなうそでも、信じたい。
「>>1」
少し休むと言って瞼を下ろした>>1の寝顔を見詰めた。
そっと、手を差し伸べる。
髪をそっと撫でた。額が覗く。
「いち、」
ずっと傍にいてくれ。
199 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:09:07.08 ID:DAeQUVAo Be:
看護士が入れてくれた簡易ベッドに腰を下ろして、瞑想をしようとして、
やはり出来なかった。
オレは本当にだめになってしまった、
どうしても、>>1が気になる。
こんなにも弱くなってしまっている。
最近余り会っていないが、きっと、
悟飯が今のオレを見ればがっかりするだろうな。
「>>1」
「ん?」
眠っているとばかり思っていた>>1の声が不意に。
驚いて立ち上がってしまってから、
そんな自分の反応が恥ずかしくて、また腰を下ろそうとして、
「ピッコロさん」
声に惹かれて、近づいた。
201 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:11:50.14 ID:DAeQUVAo Be:
>>1はやはり眠っていたのか、
少し、ぼうっとしたような表情でオレを見上げた。
思わず手を差し伸ばす、
頬に触れた。少しこけたようにも思う。
「ああ、」
溜息のような声を>>1が出した。
「ピッコロさん、」
「どうした」
困ったように笑う表情を、
どうすればいいのか解らずにずっと見下ろしていた。
「何か、辛いか?どこか痛むか?看護士を、」
「いや」
>>1の手がオレの手首を捕まえた。
202 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:14:24.79 ID:DAeQUVAo Be:
「ピッコロさんが寂しがってる夢を見て、」
「泣いている夢を見て、」
「どうしようかと思ってた」
「泣いてなくて良かった」
寝起きなはずなのに少し冷たい手のひらが、
ゆっくりとオレの手首を撫で、撫で上げて、
途中でふっと離れると、屈み込んでいたオレのあごに触れた。
「キスが、したいな」
205 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:20:16.23 ID:DAeQUVAo Be:
ゆっくり、唇を重ねた。
乾いた>>1の唇の表面は、少し硬いと感じた。
あごからオレの頭に回る>>1の手。
静かに開いた唇に、差し出される舌を想像してしまったが、
それはオレの唇を割って押し入っては来なかった。
柔らかくオレをはさんで、味わうように動く唇に、
優しく慰めてくれるような唇の動きに、
じくん、と、疼いてしまう自分の体が情けなかった。
A・>>1は気付くよ
B・気付いたけど気付かないふりをするよ
C・>>1は気付かないよ
212 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:31:43.58 ID:DAeQUVAo Be:
>>206 B
いけない、腰が、震えてしまいそうだった。
>>1の顔の脇に置いたオレの手が、ぐ、と拳になる。
「ぁ、」
ゆっくりと唇が離されて、
オレが目を開ける前に>>1の手がそのまま頭を抱き寄せた。
>>1の首筋に、鼻先を押し付ける。
人間の匂いがする。
「ピッコロさん、」
ずきずきと体の中が熱に疼く、
返事が出来なかった。>>1の声は穏やかで。
首筋に触れていた手が、一度離れて、
マント越しにぎゅっと背を抱いてくれた。
心地が良かった、>>1の腕が。
214 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:35:41.76 ID:DAeQUVAo Be:
じっと抱き締められて、じんじんと熱がしつこく疼きながら、
それでも、少しずつ治まっていく。
「……>>1」
漸く声を出せた。
髪を撫でる。指に通る髪をくしゃと軽く握って、離した。
「オレは……お前が、無理をしていると、気付けなかったことが、くやしい」
ぽん、と、>>1の手のひらが背中で弾む。
「……オレは、……」
自分のことで精一杯だった。自分の中の不安で。
ふとしたことですぐに心が竦み、
>>1の不在が耐え難くなり、>>1がそこにいれば欲しくなり、
そんなオレに、>>1が頼れるわけがないのに。
215 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:41:41.55 ID:DAeQUVAo Be:
「……すまない」
「だから、ピッコロさんが謝ることじゃないんだ」
「オレが…オレが、」
ゆっくりと背を撫でてもらえた、
布が邪魔だと思った。直に触れて欲しいと思って、
そうして、
そうされればオレが止まれなくなると思って、
自分の浅ましさに歯噛みをする。
きっと、オレの存在は、
……>>1は、必要だと言ってくれるが、
やはり、重荷なのだろう、と、また不安が込み上げてくる。
「ごめんな、……ほんとに」
でも、と、>>1が少し迷うような口調で言葉を継ぐ。
「ピッコロさんがいてくれるから頑張れるんだ」
「…………傍に、あなたがいない間は、」
217 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:44:32.19 ID:DAeQUVAo Be:
>>1が言葉を切る。
身じろぎをして、オレは>>1の顔を見た。
少し驚いたようにオレを見た>>1が、優しく笑う。
「……あなたが俺を待っていてくれるから、」
「あなたが、俺と一緒に眠ってくれるから、」
「あなたが俺の傍で暮らしてくれるから、」
「俺は本当に幸せで、……だから謝らないで欲しい」
「……」
>>1が途切れさせた言葉の先とは、
違うような気がした、だが、
優しいその声に甘えた。オレはゆっくりと頷く。
「もう一度、キスして欲しい」
「……ああ」
触れるだけの、口付けを交わした。
220 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:49:04.49 ID:DAeQUVAo Be:
もう一度、休むと告げて俺は目を閉じた。
ピッコロさんが、今度は離れずにじっと俺を見ている気配を感じる。
ゆっくりと息を繰り返す。
ピッコロさんの手が、俺に触れる。
頬を撫でて、耳を撫でて、髪に触れて、
離れない。
俺はひどいことをしていると、
解っていた。
俺はもう子どもじゃなくて、
222 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:51:55.53 ID:DAeQUVAo Be:
ただ好きだと愛していると手放しにそれだけに溺れていられる子どもじゃなくて、
今日は明日に続いて明日は未来に続いて
そのままどこまでも自分が自分のまま日々が永遠に続いていくと
無邪気に信じていた子どもじゃなくて。
打算と欺瞞にまみれた、優しくもない、ただの、男だ。
何をおいても離したくないその人を変わらず俺の傍に置いておくためになら
俺は悪にだってなろう。
225 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:55:28.00 ID:DAeQUVAo Be:
好きだ、好きだ、何よりもその人が俺には必要だ。
やり方を間違えているのかも知れない、いいや、
間違えている、知っている。
こんな形で、
その人を、
繋ぎとめておく俺は最低だと、
誰も言ってくれないから、自分で、自分を責めた。
だが、
どこまでも俺に溺れていればいい、
どこまでも俺だけを求めていればいい、
愛しいあなたが俺だけを見ていると確信したその日から、
俺の愛し方はきっと、
やわらかくあたたかくしなやかな優しさに似せた糖衣で包んだ
攻撃だ。
229 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 04:59:56.13 ID:DAeQUVAo Be:
優しく、必死なあなたの手のひらが俺に触れて、触れて、離れない。
あなたと暮らす日々のため、あなたと過ごす生活のためなら、
俺はなんだって出来るだろう。
あなたから向けられる愛のため、あなたから注がれる視線のためなら、
俺は死さえ、恐れない。
それをもってあなたを縛り付けておけるなら。
ああ、だけど、
だけど、
いや、
俺を俺だけを必死に、目一杯、求めてくるこの手を失うくらいなら。
235 ◆hAmnyPalgs [sage] Date:2008/07/07(月) 05:09:48.39 ID:DAeQUVAo Be:
>>1は静かにしている。
眠っているのか、まどろんでいるのか、
表情が辛そうに見えるのは状況のせいだろうか。
愛しかった、全てが。
やつれた頬も、額も、オレに優しくしてくれる唇も。
「すきだ、」
小さく呟いた。
お前の夢の中にオレがいるのなら、
そのオレからもそう告げられればいい、と思う。
「あいしている……」
優しくして欲しい、甘やかして欲しい、
オレの不安を拭い去って抱き締めて欲しい、
だがオレはやはり、お前の支えになりたい……。
「お前が、寂しがっていたら、」
「……泣いていたら、オレが抱き締めてやりたい」
お前の夢の中にも、届けばいい。
おしまい?
次:
七年後>>1が過労で倒れました 2