きゅ、と藍色甚平のヒモを縛る。
部屋の片隅に立てかけている姿見で確認する。
うむ、なかなかの男前。
さて、と時計に目をやった途端に、
「おおおーーーいっ!主人公〜〜〜ッ!!!」
ガッツンガッツンと力任せにドアを蹴りたくるアホが、俺を迎えに来た。
616 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 21:51:40.01 ID:OL6ZFxko
>>1「いっよーーーす!」
主人公「お前はチャイムの存在を知らないのか?」
>>1「うっせーなあ、いきなり小言はよせよバーカ!」
主人公「……それに、お前さ、浴衣くらいないのか」
ドアを開けた向こうは夕暮れ。
マンションの廊下に灯る電灯に照らされた>>1の格好を見て溜息を付く。
いいや決してこいつの浴衣姿を見てみたいだなんて、
小指の爪の先っぽの白いところほども思わない。
多分、浴衣なんぞで現れていたら、似合わないと一刀両断しただろう。
だがあんまりにもあんまりじゃないか?
>>1「え?でもコレよくね?頑張ってペイントしたんだぜ!」
ぐちゃぐちゃの絵が描かれたニッカボッカをばさばさやって、
>>1が褒めて欲しそうに笑う。
あー可愛くない。つーかほんと、後ろから見たら薄汚れたとび職だぞ。
タンクトップの胸元のシルバーが唯一のしゃれっ気のようにも見えるが、
こいつに乳がついているなんて全世界の女性への冒涜な気がする。
>>1「ささ、いこーぜ、いこーぜ、ピッコロさん待ってるっつーの!」
617 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 21:57:44.14 ID:OL6ZFxko
主人公「あんまり近づくな」
>>1「は?何言っちゃってんの?死ぬの?」
主人公「とびのおっさんと夏祭りに出かけたってウワサが立ったらどうしてくれる」
>>1「おまwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
>>1の汚いニッカボッカを足蹴にしたり、
甚平のズボンを引き摺り下ろされそうになったりしつつ、
歩いていく道。
その先に、ピッコロが立っていた。
>>1「ピッコロさーん!お待たせえええっ」
ピッコロ「ああ、」
主人公「よ」
今日は偶然じゃない。
突進していく>>1を少しはにかんだ様子であしらうピッコロの、
白地に桃色の模様が散った浴衣がひらりと揺れる。
主人公「浴衣」
ピッコロ「……あ、ああ」
619 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:03:45.08 ID:OL6ZFxko
主人公「おい、>>1」
>>1「なんだよ!あーピッコロさんすっげーきれーーー」
主人公「離れろ」
>>1「ああああ゛?てめー何様だよピッコロさんの何だってんだよのすぞ!」
主人公「ピッコロの浴衣が汚れるだろうが」
ピッコロ「いや、そんなことは」
>>1「あ!そーだ、すっげーキレイなのに、ごめんな!」
ピッコロ「……構わん、のだが」
一歩引いた>>1がピッコロを見詰める。
俺と、>>1にまじまじと見られたピッコロが、
顔を染めて「そんなに見るな」と小さく呟いた。
夕陽の加減だったかも知れないが。
>>1「すっげー似合うぜ!!!!なー?!」
主人公「ああ」
ピッコロ「良いから、……行くぞ」
つん、と顎を逸らして歩き出すピッコロに嬉しそうに>>1が近づいて、
2人の手が自然に絡まった。
仲良くなってるよなあ、こいつら。
少しずつ暗くなっていく中で、ピッコロの浴衣が妙にまぶしいと思う。
621 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:09:53.52 ID:OL6ZFxko
夜店がずらりと並び、騒がしい通りへと差し掛かる。
こんなときこそ、とばかりに大道芸人も自己主張し、
暗くなった藍色の空気を色とりどりの灯りが照らす。
>>1「もしはぐれたらピッコロさんを目印に集合な!!」
主人公「解り易いことこの上ない」
ピッコロ「……」
さあて、まずはどの店を冷やかすか。
A・大道芸人が騒いでいるあたりへ
B・何か食べよう
C・ヨーヨーつり
D・射的
>>624
625 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:25:34.86 ID:OL6ZFxko
>>624 A・大道芸人が騒いでいるあたりへ
>>1「なあなあ、なんかあっちの方楽しそうじゃね?じゃね?」
主人公「行ってみるか?ピッコロ、騒がしいが大丈夫か?」
ピッコロ「お前はオレをなんだと思っているんだ」
主人公「いや、耳、敏感なんだろ?」
ピッコロ「多少騒がしいくらいで苦痛なわけないだろうが」
>>1「行ってみようぜーーー」
気遣ったつもりなんだけど、ちょっとプンとされてしまった。
無性っつってもやっぱなあ、男じゃないとどうしても女よりの扱いしちまって。
そういうのがムカつくのかな?ああ、>>1は、むしろ男だから俺の中で。
>>1「あれっ、フリーザさまじゃん」
主人公「ああ、本当だ」
ピッコロ「バルーン芸人の前で目をキラキラとさせている」
>>1「でもやっぱとりまきと一緒なんだなー。ダチとこねーんかな」
627 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:32:26.19 ID:OL6ZFxko
細長い風船が、初老の男性の手の中できゅ、きゅ、と音を立てながら
みるみるうちにウサギやクマ、花の形になっていく。
初めて見るわけではないが、それでも大したもんだな、と感じた。
フリーザは、白い頬をぽっぽと紫に染めながら
胸の前で両手を握ってじっと風船芸人の手元を見詰めている。
人影の向こうに、赤い浴衣がちらちら覗く。
>>1「うひwwwwwwwwフリーザさまwwwwwwwwwwギザカワユスですぅwwwwwwwwww」
主人公「落ち着け」
ピッコロ「……」
>>1「だってだってwwwwwwほらwwwwwwめっちゃ子どもの目ーしてる!!!」
主人公「ああ、まあ、確かにな」
>>1「かんわいーーーーwwwwwwwwwwww」
ピッコロ「……珍しいんだろうな」
そういえばフリーザは相当金持ちのお嬢様だ。
なんだってこんな庶民の夏祭りに来ているんだろう?
628 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:35:09.12 ID:OL6ZFxko
風船芸人「そうれ、誰かにプレゼントだよ」
フリーザ「!!!!!!!!!!」
>>1「んっ」
ピッコロ「あ」
主人公「お?」
風船芸人が、ぽおんと放った、花の形のピンクの風船が、
ふんわり宙を舞って俺の手元に落ちて来た。
>>1「おー、可愛いじゃん!ラッキーじゃんかじゃんか!」
ピッコロ「そうだな」
主人公「おおー」
A・ラッキー
B・フリーザにあげる
C・ピッコロにあげる
D・>>1にあげる
E・そこらへんのょぅι゛ょにあげる
633 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:41:09.29 ID:OL6ZFxko
>>630 B・お嬢様にお花を
手の中の、ぷにぷにと柔らかな風船の花を弄ぶ。
ふわっと軽くて、きれいな色だ。
>>1を見た。もうすっかり俺の手の中の風船からは興味が失せ、
フリーザの方を見ている。
ピッコロを見た。目が合って、逸らされた。
フリーザを見た。びっくりするぐらい目が合った、かと思ったら、
俺じゃなくて俺の手の中をめっちゃ見てた。がっつり見てた。
主人公「……ちっと待ってて」
>>1「お?おお」
ピッコロ「ん?」
人ごみを掻き分けて、フリーザへ歩み寄る。
両側と後ろを取り巻きに囲まれたフリーザは、
びっくりしたように一歩後ろに下がった。
636 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:47:18.51 ID:OL6ZFxko
赤い浴衣に白い肌。
耳の上にどうやってかわからんがリボンが揺れて、
そりゃあもう、確かに、可愛いかも知れない、と思った。
だけどきっと夏祭りの、この熱気の錯覚だ。
主人公「なあフリーザ」
フリーザ「な、なんですか」
主人公「これやるよ」
フリーザ「え」
きっと少し期待してたんだろうな。
無造作に差し出した俺の手を、咄嗟に受け止めるフリーザの白い手。
赤い目が、夜店の明かりを照らして光る。
639 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 22:52:37.49 ID:OL6ZFxko
2人の手の間に、ぷるっ、と風船の花が揺れた。
フリーザ「え」
主人公「な。」
フリーザ「え……」
取り巻きたちが俺とフリーザを見比べる。
ちょっとそいつらが殺気だって来たので、俺は慌てて退けることにした。
フリーザ「あ、ちょっと」
背中にフリーザの声が掛かり、振り返る。
こんな庶民の手遊び物、いりませーん、だなんて言われるかな、と思ったけど
フリーザの両手の中に、しっかりと風船の花は握られている。
俺を呼び止めたくせに、フリーザは何も言い出さない。
A・「じゃ、また学校でな」
B・「お前はその花みたいに可愛いよ」
C・「良かったら一緒に夏祭り、見て廻るか?」
648 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:03:42.35 ID:OL6ZFxko
>>641 A・主人公はクールに去るぜ
主人公「じゃ、また学校でな」
笑いかけると、フリーザが目を見開いた。
つーんと釣りあがった目の中の、
小さな赤い点がきらきら光る。
>>1「おいおいおいおいおいお前フリーザ様狙いなのかよ?!」
主人公「あ?いや別に」
>>1「いやいやフリーザ様はもうそりゃ歩くだけで骨抜きにされるくらいの」
>>1「えっちすけっちわんたっちばでぃだけどもだけど」
ピッコロ「……」
>>1「やべーよあんまり深入りしたらてめーの学校生活ずたぼろになるぜ!!」
主人公「え」
>>1「てめーはフリーザ様FCの恐ろしさを知らねーんだよ!!」
主人公「ええ」
650 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:07:21.15 ID:OL6ZFxko
取り巻きに囲まれるように立ち去っていったフリーザを見送ってから、
>>1が怒涛の解説をしてくれた。
いわく、フリーザに一目ぼれした男子生徒が体育の授業のどさくさで
フリーザの体に抱きついただけで次の日そいつの机が無かった、だの。
いわく、フリーザのナマ写真をファンクラブを通さず流通していた写真部部長が、
「ヒマラヤを見てくる」の書置きを残して失踪しただの。
主人公「別に俺は狙ってるとかそういう…」
>>1「はーやべーやべー、俺だけはてめーの味方してやるけどさ」
主人公「!」
>>1「俺の身に危険が迫らない限り」
主人公「お前はそーいうやつだよ」
ピッコロ「おい、余り主人公を脅すのはよせ」
653 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:14:59.63 ID:OL6ZFxko
ピッコロに窘められて>>1は口を噤んだが、
何故か俺の足首を蹴ってきた。
痛い。けり返してやる。
>>1「おうッ」
ピッコロ「どうした」
>>1「ひでえ!主人公が俺の足を!!」
主人公「なッ、お前から蹴ってきたんだろうが!!」
>>1「うわあああんピッコロさんなーぐさーめてー」
主人公「お前な!しっぺすんぞしっぺ!」
ピッコロ「……仲がいいことだ」
暴れる俺たちをピッコロの両手ががばっと引き剥がす。
可憐な浴衣に包まれていて忘れがちだが、
ピッコロの両腕は相当逞しい。
ピッコロ「通行人の邪魔になるだろうが、落ち着け」
A・「何か食うか」
B・「ピッコロは真面目だなあ」
C・「そうだ、ヨーヨー取ってやるよ」
656 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:21:46.83 ID:OL6ZFxko
>>655 A・買い食い
主人公「何か食うか」
>>1「あー、そろそろ腹減って来たなあ」
ピッコロ「そうか」
屋台の飯っつーもんは、どれもこれもうまそうに見える。
安っぽいソースのニオイを意識すると、ぐー、と腹が鳴った。
主人公「俺は焼きソバにしよう」
>>1「あ、俺も俺もー。最初は焼きソバにする」
ピッコロ「そうか」
ふと、ピッコロは食事を取らないことに気づいた。
あんまり盛り上がったら悪いかな、とピッコロの表情を窺うが、
焼きソバ屋台に並ぶ俺たちを見守る視線は特に不機嫌にも見えない。
目が合って、首を傾げられた。
「ピッコロは……」
ふと、思いついた。
「かき氷とかなら、食べられるんじゃないか?」
660 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:31:12.75 ID:OL6ZFxko
ピッコロ「かき氷?」
主人公「食べたことないか?」
>>1「ふんもっふ、焼きソバうんめー」
ピッコロ「ない、な」
>>1「ピッコロさん、こーいうのあんま来たことねーっつってたしなー」
主人公「そうなのか?」
ピッコロは頷く。
使い捨ての箱を皿代わりに盛られた焼きソバを食べ歩きながら、
かき氷の屋台を探した。
主人公「食ってみろよ、あれなら殆ど水だしさ」
ピッコロ「ほう」
>>1「みぞれとかイチゴとか色々味があるんだぜー」
焼きソバをぺろりと食べ終わった>>1が、ぐしゃっと容器を潰してニッカボッカに突っ込んだ。
あーあーあー、汚い。とても女のやることじゃない、まさにオヤジ。
>>1「あ、あそこにあんじゃん、かき氷の屋台。いこうぜ」
661 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:37:36.23 ID:OL6ZFxko
俺はまだもぐもぐと焼きソバを頬張りながら、
いそいそと移動する2人の後を付いていく。
また、2人は手を繋いでいた。
>>1の手ソースでべたべたしてるんじゃないかな、なんて、
ピッコロのことが気になる。
>>1「俺はみぞれ練乳にしよーっと」
主人公「何、お前も食うの」
>>1「おう!ピッコロさんどれにすんの?」
ピッコロ「よく、解らない」
主人公「そうだなあ」
A・「みぞれがいいんじゃないか」
B・「やっぱり基本はイチゴだろう」
C・「レモンっていうのもあるぞ」
D・「ブルーハワイなんてどうだ?」
667 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:44:33.47 ID:OL6ZFxko
>>663 C・レモン
主人公「レモンっていうのもあるぞ」
ピッコロ「レモン?」
>>1「あー、いいんじゃね?匂いいいし」
ピッコロ「じゃあそれにする」
ピッコロが、なんだか嬉しそうにいそいそと巾着を取り出す。
でかいしコワモテなんだけど、たまに妙に可愛く見えるな。
>>1「みぞれ練乳とレモン一個ずつなー」
主人公「あ、俺は」
>>1「え、お前も食うの」
主人公「……俺はイチゴで」
レモンのかき氷を手に取ったピッコロは、
突き刺さったストロースプーンに素直に口を運ぼうとする。
668 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:47:04.97 ID:OL6ZFxko
ぱく、と唇がストロースプーンの頭を咥えた。
>>1は、なんだかニヤニヤして見守っている。
>>1が止めないので俺も止めなかった。
2人が見守るなか、ピッコロはふすー、とストロースプーンを吸い上げて、
ピッコロ「……」
暫く止まってから、また吸い上げた。
ふすー、と軽い音がする。
>>1「う……うーはははははwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
主人公「ピッコロ、違うんだ。これは尻のとこがスプーンになっててな」
>>1「うひーーーーーひひひひwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ピッコロ「なッ!な、 ……笑うなッ!!」
主人公「そうだ、失礼だぞ」
>>1「かーーーーわいいいーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
674 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/05(土) 23:57:33.09 ID:OL6ZFxko
暖かい色の灯りに照らされたピッコロは、
あからさまに紫になっている。
爆笑する>>1をたしなめながらも、俺もなんだかそんなピッコロが面白くて、
そうだな、可愛い、と思う。
少し笑ってしまいながらかき氷を口に運んだ。
ぷんすかと怒りながらもピッコロも、俺たちがやるのを見て、
少しぎこちない手付きでスプーンを操り始める。
いつの間にか>>1が笑うのを止めてピッコロを見ていた。
ピッコロ「ああ、」
ピッコロ「……つめたくて、おいしいな」
いい香りがする、と嬉しそうに目を細めるピッコロの背中を>>1がばんばんと叩いた。
>>1「良かったじゃーん!!やっぱ買い食いしねーと祭りじゃねーよな!!!」
ストロースプーンを咥えたまんま喋る>>1。
叩かれたくらいじゃびくともしないピッコロは、澄ました顔でかき氷を食べ進めている。
675 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/07/06(日) 00:00:16.36 ID:SZolqyYo
>>1「あ、」
俺たちの手の中のかき氷も随分と量を減らした頃、
>>1が携帯を開いて時間を確認した。
それから漏れた呟きに、なんとなく視線を向ける。
>>1「花火始まる時間だ。ピッコロさんだいじょぶかな」
ピッコロ「ああ……あまり、心配しなくていいと言っているだろう」
俺が気にした時はなんだかつんとしていたくせに、
>>1の言葉には照れたように言葉を返すピッコロ。
なんだこれ。
周囲の人ごみも、ゆっくりと移動を始めている。
>>1「見易いとこ、いこうぜー!」
A・花火編
B・どらメモ番外編へ
C・どらメモ終了、別の
>>677
続きます!
次スレ:
どらメモ番外編・>>1とピッコロさんで花火鑑賞