前スレ:
〜〜調律師と庭師の恋〜〜 1,始まり126 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 01:26:58.06 ID:VgzS2Jko
〜〜調教師と庭師の恋〜〜
俺「……はあ」
悟飯「どうしたんですか庭師さん」
俺「あっ。これはこれは旦那さま」
悟飯「溜息なんてついて、何か?」
俺「いええ、なんともないでがす、すまんこってす」
悟飯「ならいいんだけど」
俺「……はあ」
俺「数ヶ月にいっぺんくらいしか、調律の先生は」
俺「いらっしゃられんのだものなあ」
ビーデル「ねえ庭師さん」
俺「なんでがすか、奥さま」
ビーデル「この辺りにパンジィの花壇があったらステキだと思うんだけど」
俺「パンジィでがすか」
ビーデル「お願い出来る?」
俺「承知したでがす」
130 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 01:35:35.41 ID:VgzS2Jko
俺「……はあ」
俺「俺、病気だばごとないか」
俺「……先生のことばかりば考えちしまう」
俺「いかん。いかん。」
俺「良いパンジィば選らばないかん」
俺「……!!!」
ピッコロ「……これは綺麗な花だな」
園芸店のおやじ「買うかい?もう咲きかけてるから安くしとくよ」
ピッコロ「どうするか……」
俺「先生……!」
俺「これは運命とば違うか」
俺「……先生の綺麗な指が花鉢ば持ってらっしゃる」
俺「なんつう美しか光景だ」
俺「……いかん。」
俺「胸ばどきんどきんして声ば掛けられね」
134 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 01:43:45.11 ID:VgzS2Jko
蕾の綻び始めた花鉢を両手に抱くように持つ調律師。
すらりとしなやかな緑の指。
ふと自分の手を見下ろす庭師。
皮膚がところどころ剥げ落ち、錆と土に汚れた汚い手。
俺「…………」
ピッコロ「……そうか、オレは余り園芸をしたことがないんだが」
おやじ「それじゃあこれは難しいかも知れないねえ」
ピッコロ「残念だな……」
表情に陰を落としながら手にした花鉢を戻そうとするピッコロ。
はっとしたように数歩近寄る庭師。
まろぶ庭師の足。
俺「先生!」
135 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 01:47:11.86 ID:VgzS2Jko
ピッコロ「……、……お前は、悟飯のところの」
俺「庭師でがす!」
覚えていてもらえた。それだけで胸に何かが込み上げて来る。
汚い帽子を頭から取り、汚い手の中でもじもじと握りつぶしては広げながら、
庭師は調律師の前で立ち尽くす。
ピッコロ「……どうした?」
俺「そ、そ、その花」
ピッコロ「ああ。育てるのが、難しいらしくてな」
俺「お、お、俺がッ、俺が手伝いばするでがす!」
ピッコロ「……うん?」
139 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 01:53:36.36 ID:VgzS2Jko
ピッコロ「……」
俺「……」
驚いたようなピッコロの視線を受け止めていられず、
庭師は視線を落としてしまう。
綺麗に磨きこまれた靴を履いた上品な調律師の足元。
そして、指先に穴の開いた汚れきったどた靴を履いた己。
俺「……」
なんという分不相応な申し出をしてしまったのだろうかと、
庭師はカチカチと体を硬直させる。
良く日に焼けた耳が、熱を持つ。
142 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 02:01:30.45 ID:VgzS2Jko
俺「あ…あのッ、あッ、ああ…」
俺「すまんこってす、俺、その、」
ピッコロ「良いのか?」
俺「えッ」
降って来た穏やかな声音。
がつーんと顎を突き上げられたような勢いで顔を上げた庭師に、
調律師はくく、とやわらかく笑う。
口端からちらりと覗いた白く尖った犬歯。
庭師は何故か、
見てはいけないものを見てしまったかのような、
慌てた気持ちに襲われてますます顔を赤くする。
143 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/27(金) 02:04:43.80 ID:VgzS2Jko
ピッコロ「お前が良いのなら、教えてもらおう」
俺「あ、ああッ、俺、俺で良けりゃあその、あの、幾らだあって」
ピッコロ「助かる」
調律師は目を細めた。
ピッコロ「オレは、……ピアノ以外、良く解らない」
庭師は暫し見惚れ、
それから手の中でぐしゃぐしゃに丸まってしまっていた帽子を
ぎこちなく伸ばし、
かっかと熱い顔を覆い隠す。
帽子に添えられた汚い、庭師の手。
ぼろぼろだけれど五本きっちりと揃ったそれに、
調律師が送っていた眼差し。
憧憬を注ぐ調律師と持てた接点に浮かれる庭師は、気づかなかった。
つづく!
次スレ:
〜〜調律師と庭師の恋〜〜 3,調律師の家へ