デンデ「ろ、679さん?」
デンデの少し戸惑った声
この声も、16日後には聞けなくなっている可能性が極めて高い
全てが、デンデの全てが愛おしい
力を入れないように、壊さないように、極力優しくその身体に手を這わせる
柔らかな頬…細い首…鎖骨…幼い腕…平たい胸…微かに括れた胴…ぷっくりと膨らむお腹…そして、そのままそこからつながる濃いピンクの膨らみ…
デンデ「…ふ…、はぁ…」
デンデの腰が揺れる
無意識か故意にかは推測不能だが
ピンク色の股間の膨らみに触れた私の手に、そこを擦り付けるかのように、腰を揺らす
ちらりと確認させてもらう横顔は、顔を真っ紫に上気させ、快感に陥っていた
679「やらしいな…」
デンデ「!!」
私の無意識の言葉に
ぴくりと、デンデが反応する
しまった…
言葉の制御まで利かないのか
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:06:50.30 ID:WJnuF6DO
デンデ「だ、だって…679さんのせいじゃないですか…」
679「…私のせい?」
デンデ「…いきなり…こんなこと始めちゃうんですもん」
679「…」
デンデ「それに…なんだか…」
デンデ「…なんだか、焦っちゃって」
679「…何故、焦りますか」
デンデ「…っ!」
私の腕をふりほどき、デンデが振り返る
そして、きついほどの抱擁が私に与えられた
679「…神様?」
デンデ「…」
デンデ「…ずっと、一緒です」
679「…」
デンデ「ぼくが死ぬか、679さんが老朽化で錆び付いて全部の機能が動かなくなるまで、ずっと一緒…」
679「何故…」
カメラアイの奥が熱くなるような感覚があった
そんなはずはない
しかし、確かにカメラアイの奥が熱くなる
神…いえ、デンデにまさか思考回路を覗かれたか
はたまた口に出てしまっていたか
679「何故…いきなりそんなことを?」
デンデ「そんな気が、したからです」
デンデ「なんか寂しそうで、急いでるような時間に焦っているような…そんな」
679「…」
デンデ「…」
これ以上は、駄目だ
私の中に警告音が鳴り響く
私が、私に危険を告げる警告音
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:11:32.70 ID:WJnuF6DO
679「…」
デンデ「679さん…約束してもらえますか」
デンデ「ずっと一緒」
679「…」
ロボットは、嘘をつけない
しかし、故意に人を傷つけてはならない、とブレインの基礎にインプットされている
679「………」
言葉にしてしまえば、間違いなく神様は傷つくことでしょう
しかし、私は嘘など言えない
デンデ「無理、ですか?」
679「…」
言葉が出ない
ロボットとしての性能と、ロボットとしての本能が私の中でぶつかり合っている
私の中の警告音がうるさい
制御装置が壊れていることを告げる警告音
思考回路が過熱によりショートしかけている事を告げる警告音
そして私の意識は、闇に包まれた
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:13:14.25 ID:WJnuF6DO
……
………
デンデ「…っ!〜〜!?」
微かに、神様の声が聞こえました
デンデ「〜!起きてください!目を覚まして!」
朦朧とするブレインに、その声で命令が聞こえます
679「…はい、神様」
異様なまでに重たく感じる身体を起こし、音声を認識した方向を確認
そこには、涙を浮かべた神様と、不思議そうな顔をしたミスター・ポポが立っていました
私はまた過熱を起こし、強制シャットダウンされていたようです
尚、神様はもう服を着ています
誠に残念ながら
679「申し訳ありません、またオーバーヒートを起こしておりました」
やたら冷静に戻ったブレインは、もう警告音を告げてはいません
危機は脱したようです
しかし一応15日後の定期検査の時に調べていただいた方がいいのは確かでしょう
…定期検査の時に
ポポ「おまえ いがいと ぽんこつ」
デンデ「!そ、そういうこと言っちゃダメですよ!ポポさん!」
679「いえ、事実ですから」
デンデ「そんなぁ…679さんはポンコツじゃないですよ!ぼくが保証しますっ!」
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:24:03.43 ID:WJnuF6DO
少しだけムキになったような、神様
…
私は何をしていたんだ
こんなに純真な人を、壊れた制御装置のせいにして汚そうとしていたなんて…
679「神様、先ほどは失礼しました。」
デンデ「え、あ、いえいえ!ぼくの方こそごめんなさいですよ!」
679「神様が謝ることは何もありません、私が暴走を起こしただけです」
ポポ「どんな 暴走 おこした?」
デンデ「!!き、気にしないでください!ポポさんは知らなくて大丈夫です!」
あわてる神様
首を傾ぐミスター・ポポ
それは至っていつも通りの光景
いつまでも共にいられると、疑うことなど無かった日常
679「…」
デンデ「…679さん?」
ポポ「ぼうそうぐらい しんきくさいかお するな」
だめだ
これ以上ここにいたら、私は失うことに恐怖を感じてしまう
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:38:31.27 ID:WJnuF6DO
679「…」
デンデ「おーい、679さん?」
ポポ「また こわれたか?」
神様の小さな手が、ぺちぺちと控えめに私の頬をたたく
だめだ
失いたくないなんて、思っては
この状態で、神様の下にいるのは危険すぎる
679「神様」
デンデ「なんですか?」
679「…明日、私は研究所に戻ります」
デンデ「へ?」
679「最近不調が重なっています、制御装置も壊れた模様です」
デンデ「せ、制御装置?」
不思議そうに私の顔をのぞき込む、純粋な顔
疑うことなどしない、純粋な神様
嘘さえも、笑顔で許容してしまいそうな純粋さ
679「…無意識による力の加減、精神の制御及び言語の制御をする、大切なデータパーツです」
デンデ「!」
ポポ「それ こわれたら まずくないか」
679「とてつもなくまずいです、だから研究所に戻ります」
デンデ「そうですか…」
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 02:50:12.71 ID:WJnuF6DO
ポポ「明日とか ゆうちょうなこといって いいのか?」
デンデ「あ、確かに!壊れたらまずい部分なんですよね?大丈夫ですか?」
ミスター・ポポの言葉にあわてる神様
…確かに、早くここから離れた方がいいのでしょう
しかし、もう少しだけ、ここにいたい
そう、私の電気信号が私に訴える
…まただ、カメラアイの奥が熱くなる
デンデ「!」
ポポ「!」
デンデ「な、泣いてる…んですか?」
ポポ「なにが あった」
679「…誰が泣いているのですか」
神様とミスター・ポポの言葉が理解できない
誰が泣いている?誰に何があったって?
誰が…
頭がクラクラする
ブレインから火花が散りそうだ
落ち着こう
少し、顔を押さえると、手のひらに濡れた感触があった
…
……あぁ、泣いているのは
679「私か」
デンデ「679さん…」
ポポ「…」
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 03:05:00.10 ID:WJnuF6DO
デンデ「話してください、何があったのか」
ポポ「なにが あるのか」
もう、隠せはしない
私の中に諦めが産まれた
幸い、制御装置は還付無きまでに壊れたらしく、もう警告音さえならない
679「…お二人が望むなら、全てをお話しします」
デンデ「はい」
ポポ「かみさまが それを願うなら」
もう、全てを話しましょう
神様を、デンデを愛しすぎた事
制御装置が壊れた事
危険な独占欲が私の中に生まれた事
それはロボットにあってはならない危険な感情で、危険なロボットは処分を受ける事
そして、処分は
良くてデーターのオールクリーン、ふつうは解体処分の上スクラップ
最悪の場合は研究所でサンプル保存
死ぬことも生きることも出来ないまま
身体は廃棄され、メインブレインのみを永久に保存
デンデ「そんな…」
679「どのみち、もう私はここにはこれないでしょう」
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 03:21:00.69 ID:WJnuF6DO
679「早く、研究所に向かった方がいいのは、確かです」
デンデ「でも!」
これ以上、神様の声を聞いていたら、研究所に戻る勇気がなくなる
そうひしひしと感じました
立ち上がり、神様に背を向け、ドアノブに手をかける
ポポ「いいのか おまえは それで」
679「…私は、ロボットです」
679「どれだけ人に近づこうと、所詮は人につくられし物」
679「危険な道具は、処分されてしかるべきです」
デンデ「危険なんかじゃありません!道具なんかじゃないです!」
神様の、叫びにも似た怒声
神様は、泣いているのでしょう
声へ偶に、ぐすり、ぐすりとすする音が聞こえる
679「…神様は、柄が取れてしまったナイフを、どうしますか?」
デンデ「…、っ…柄の取れた…ナイフ?」
679「危ないでしょう?使うことなど出来ないでしょう?」
デンデ「…」
679「制御装置の壊れたロボットも、それと同じです」
外に出ようと、ドアノブを捻りドアを押した
…つもりだった
のに
ドアはメキッと音を立て、蝶番が千切れてしまった
679「…見ての、通りです」
デンデ「…」
ポポ「…」
679「今の私には、正しく扉を開ける程度の力の調節も、難しい」
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage]:2008/06/28(土) 03:29:54.30 ID:WJnuF6DO
679「破壊してしまい、申し訳ありません」
はずれてしまった扉を壁により掛けるように置き
私は、研究所に帰る決意をした
今すぐ
神様に、触れたくなる前に
679「…今までありがとうございました、神様と、ミスター・ポポと、過ごせた時間は」
679「…」
おかしい
ヒドく熱を持つカメラアイの奥、そして、激しいノイズが入り、画像が歪む
こんな現象は、知らない
679「…とても、幸せでした」
私は聴覚をシャットダウンする
もう、神様の声を一言でも聞いたら、私は彼を抱きしめたくなる
私は彼に触れたくなる
だから、聞いてはいけない
さようなら、神様、ミスター・ポポ
そして、デンデ
…つづく。
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