〜〜調律師と庭師の恋〜〜 3,調律師の家へ

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511 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/28(土) 19:43:57.81 ID:8bviF4Mo
〜〜調律師と庭師の恋〜〜

俺「ああ、いかんでがす、そんなことは俺がするでがす」
ピッコロ「うん…?」
俺「きれーかきれーか指が汚れちまうでがしょ」
ピッコロ「そんなことは…、構わん」
俺「いかんでがす。俺にばさせち欲しいでがす」

町の外れ、調律師の家。
猫の額ほどの庭先でしゃがみ込む2人。
小さなスコップを握る緑の指から、庭師がそれを奪う。

ピッコロ「だが……」
ピッコロ「オレがやれるようにならんと、世話をしてやれんだろう」
俺「お、俺が…ッ、俺が全部ばするでがす」
ピッコロ「……迷惑じゃないか?」

気遣うような視線が調律師から庭師へと注がれる。
土を見詰めていた庭師の目、一瞬だけ傍らのピッコロへと向けられ、
すぐに弾かれたようにそらされる。


515 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/28(土) 19:55:10.56 ID:8bviF4Mo
ピッコロ「……どうした?気分でも悪いか」
俺「な、なんでもないでがす」

視線を逸らしてもなお感じる調律師の視線。
ぎゅううと胸を引き絞られるような痛み。
ときめきが度を外せば痛みになると初めて知る庭師。
ぐうぐうと体を丸め、縮こまらせる庭師を傍にしゃがんだまま見守っていた調律師が、
ふと立ち上がると家の中へ消えた。

途端、はふうと気の抜けたような息を漏らした庭師が作業を始める。

ピッコロ「おい」
俺「! な、なんでがすか」

庭先に面した窓が開いた。その向こうから顔を出す調律師に声をかけられ、
庭師はどきりとまた胸を痛めながら顔を上げる。

ピッコロ「お前は、ピアノの音が気に入っていたようだったな」
ピッコロ「ビーデルのようにはいかないが、……」


517 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/28(土) 20:06:47.29 ID:8bviF4Mo
大きく開け放たれた窓から、柔らかな旋律が
外気へと注ぎ込まれてゆく。

あの美しい指が、どのように鍵盤の上で踊っているのか
庭師には解らない、
解らないながら、胸の中で緑の指が踊り出す。

紡ぎ出される優しい曲に包まれ
暫し、手を動かすのも忘れ聞き入ってしまう庭師。


庭師独白。
俺「解ってしまった、俺は解ってしまったでがす」
俺「パンジィ、さざんか、アスチルベ」
俺「俺は草の瑞々しさを、木々の緑を、庭花のきれーかごとを」
俺「そんだけで充分だ、そんだけが俺の大事なもんだと思って来ただば」
俺「違うた」
俺「違うくなってしまったでがす」


続く・・・。
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