129のトラウマ その3 〜ふたりで帰る〜

精神的にキツイ描写があるかもしれません。
個人の責任でお読みください。


1:129のトラウマ その1 〜ヤンデレ〜
2:129のトラウマ その2 〜ピッコロさんの異変〜



937 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 12:43:16.20 ID:rw7bML.o

「狭い、家だな」

俺は口の中でもごもごと、さーせん、って呟いた。
ピッコロさんは自然に靴を脱いで部屋に上がる。
そのかかとを見守りながら、俺はゆっくり靴を脱いだ。

「でも、覚えてるっしょ」

顰めた顔が俺を振り返る。

「ピッコロさん、最初は、……靴のまま上がろうとしたんすよ」


943 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 12:49:45.88 ID:rw7bML.o
「……」

ピッコロさんの表情が抜け落ちる。
なんだかとても力の入らないような動き方で、
自分が脱いだ靴を見て、
自分の足元を見て、
それからまた俺を見た。


「……なるほど」
「貴様やブルマたちの言っていたことは、」
「あながちウソではないようだな」


ピッコロさんの大きな手が、ぎゅう、と丸まった。
それを握って撫でさすって、和らげてやりたいと思ったけれど
出来ない。


944 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 12:52:46.41 ID:rw7bML.o
俺「その、なんか、さーせん。水…、飲むっすか。座って」
ピッコロ「……」

俺「……」
俺「……」

俺「ピッコロさん、どっちが、いいっすか」



948 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 12:57:17.94 ID:rw7bML.o
俺の左手に、安っぽいマグカップ。
俺の右手に、キレイに光るグラス。

部屋を見回していたピッコロさんの目が俺の声に促されて
視線が俺の上で固定される。
右と、左に、ピッコロさんの意識が揺れて、

「さーせん、そりゃこっちっすよね」

答えを聞くのが不意に恐ろしくなった。
ピッコロさんが口を開く前にそう言って、マグカップを棚に戻す。

何かを言おうとしたピッコロさんが、フン、と鼻を鳴らした。



952 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:02:44.44 ID:rw7bML.o
意識が背中に集中する。
ピッコロさんの方を向いている背中。
ピッコロさんの息遣いひとつ、身じろぎひとつも知りたいと。

でも、ピッコロさんは、何も言わなかった。
きらきらと輝くきれいなグラスに、水を注ぐ。

「どーぞ」

ちゃぶ台の上に置いたグラスが、
びんぼっちい俺の部屋の中で浮いて見えるほど
ぴかぴかに光っていた。


954 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:05:05.30 ID:rw7bML.o
ピッコロ「……」
俺「美味しいっすか」
ピッコロ「水は水だ」

俺「……」
俺「……そっすね」

ピッコロ「……オレがここで暮らしていたということは、」
ピッコロ「納得出来る」
ピッコロ「思い出せはしないが」
ピッコロ「知らない場所という気も、しない」

俺「……!」



956 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:07:39.37 ID:rw7bML.o
ピッコロ「……だが」
俺「うっす」
ピッコロ「貴様と、」
ピッコロ「……そういう関係だったということは理解できん」
俺「……」
ピッコロ「ブルマのヤツもベジータのヤツもそう信じ込んでいたようだが」
俺「……」
ピッコロ「……」
俺「……俺が、ブルマさんたちも騙してるとでも?」
ピッコロ「……いや」

ピッコロ「……簡単に騙されるやつでは、ないな」


ピッコロ「ブルマの方は。」
俺「あ、ベジータさんは騙されるって思ってんだwwwwwwwwww」


957 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:12:59.88 ID:rw7bML.o
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「……おい」
俺「うっす」
ピッコロ「本当に……」
俺「本当っすよ」

俺「信じたくねーかも、知れねーけど」
俺「……」
ピッコロ「だが、オレはナメック星人で」
俺「知ってる」
ピッコロ「……恋愛なぞ、」
俺「知ってる」
ピッコロ「……」
俺「でも、」
俺「それでも傍にいてくれたんすよ」


958 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:17:23.92 ID:rw7bML.o
「……だ、が」

無遠慮、って言っても良いんじゃねえかなって目付きで
じろじろと俺を見ていたピッコロさんの目。
すごく、辛くて、逸らしたかったけど、
それも許されないくらいの強い目つき。

それがすっと力を弱めて、
テーブルの上で輝くグラスに落ちた。



A・「……信じられないっすよね」へたれルート
B・「本当すよ、俺は、あなたの体の隅々まで知ってる」鬼畜ルート
C・「すぐには思い出せないだろうけど…」ノーマルルート



962 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:25:32.33 ID:rw7bML.o
>>961 C・ノーマルルート

俺「すぐには思い出せないだろうけど…」
俺「ま、つ、っすから」
ピッコロ「…」
俺「ここで、暮らしてください」
ピッコロ「……」
俺「……」

ピッコロ「……オレは、お前を、愛していたのか」
ピッコロ「チチが悟空を見るように?悟飯がビーデルを思うように?」
俺「……」
俺「……」

俺「わから…ない」



963 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:29:27.45 ID:rw7bML.o
俺「俺は愛されていたのかどうか、解らない」
俺「でも俺は愛していた」
ピッコロ「……」
俺「…あなたも、傍にいてくれた」
ピッコロ「……」

ピッコロ「なぜ、オレはお前のことを覚えていないんだ」
俺「……」
俺「……」

俺「ひどい、ことを、言ったから……俺が」
ピッコロ「なに?」
俺「……あなたを傷つけるようなことを」
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「言ってみろ」


965 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:33:13.15 ID:rw7bML.o
俺「……」
ピッコロ「言ってみろ」
俺「……」
俺「無理っす」
ピッコロ「なぜだ」
俺「言っちゃいけないことだった」
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「解らんな……」

ピッコロ「どう考えても、貴様なんぞに何を言われようが」
ピッコロ「オレがさほど取り乱すとは思えん」


969 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:46:47.10 ID:rw7bML.o
俺「……」
ピッコロ「……おい」
俺「はい」
ピッコロ「……チッ。辛気臭いツラしやがって」
俺「さ、せん」
ピッコロ「別に貴様のことなんぞ思い出したいとも思わんが」
俺「……!」
ピッコロ「オレの記憶に抜け落ちた部分があるのは不愉快だ」
俺「……うっす」
ピッコロ「手がかりになるかも知れんだろう、」

ピッコロ「貴様はオレに何を言った?」


970 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:50:22.46 ID:rw7bML.o
俺「……、」
俺「……その……」
ピッコロ「大丈夫だから言ってみろ」
ピッコロ「オレには良く解らん、貴様に何か言われた程度で」
ピッコロ「このオレが記憶を失くすだと?」
ピッコロ「……納得がいかない」


A・>>129のこととかも含めて解説
B・端的に「何を言ったか」だけ
C・言えない



976 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 13:56:10.83 ID:rw7bML.o
>>972 B・何を言ったかだけ

俺「……信じられない、って」
ピッコロ「うん?」
俺「あなたの何を信じればいいのか、って」
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「うん?」
俺「……あと、」
俺「それでも好きだって」
ピッコロ「……」

ピッコロ「解らんな……そんな言葉で、このオレが」


978 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:00:12.01 ID:rw7bML.o
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「まあいい」
ピッコロ「ウソをついている様子ではないしな」
俺「……うん。」
ピッコロ「……」
ピッコロ「オレは、お前に、相当、」
ピッコロ「信じて欲しがっていたんだろうかな」
俺「……!」
ピッコロ「今はもう解らんが」
俺「……」


980 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:06:02.66 ID:rw7bML.o
ピッコロ「気が滅入る、陰気な顔をするんじゃない」
俺「…さーせん」
ピッコロ「チッ。」
俺「……」
ピッコロ「……」

ピッコロ「もう話すことはないか」
俺「え」
ピッコロ「ではオレは瞑想をする」
俺「……」

ピッコロ「……」
俺「……」






983 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:10:42.58 ID:rw7bML.o

この部屋で暮らし始めたばかりの頃のように、
瞑想をして、水を飲んで、座禅を組んだまま休む。
そんなピッコロさんとの暮らしが、もうすぐひとつきになるだろうか。

ピッコロさんの記憶が戻る兆候は、ない。


985 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:14:54.95 ID:rw7bML.o

ブルマ「バカね!」
俺「うん」
ブルマ「バカなんだから」
俺「うん」
ブルマ「……」
ブルマ「撫でてあげる」
俺「……」
ブルマ「だからもうすこし、頑張りなさい」
俺「うん」
ブルマ「壊れ物を扱うみたいに遠巻きにしてるから悪いんじゃないの?」
俺「……」
ブルマ「……怖いのよね」
俺「うん」
ブルマ「ピッコロはラクでいいわよね、何もかも忘れちゃって」
俺「それは、ちがう、」
ブルマ「うん」
ブルマ「解ってるならいいの」
俺「……ブルマさん」


覗き見ベジータ「キィッ!何よブルマったらあんな子に優しくしてッ!」


989 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:18:24.86 ID:rw7bML.o
俺「ただいま」
ピッコロ「……」
俺「……」
ピッコロ「……」
俺「お水、買って来たっす」
ピッコロ「……」
俺「……」

俺「メシにしよっと」


990 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:21:24.22 ID:rw7bML.o
俺「がつがつ」
俺「もぐもぐ」


俺「……」


ピッコロ「……」




992 : ◆hAmnyPalgs [sage]:2008/06/29(日) 14:23:05.61 ID:rw7bML.o

ブルマさんに言われた言葉を忘れたわけじゃない。
踏み出さなければどこまで言っても平行線なのだろう、
だけど、
だけどさ、
どうしても怖かった。


傍にすらいてもらえなくなったらどうしよう?


A・ベジータの同情
B・ブルマのぬくもり
C・悟飯の怒り

>>994   




4:129のトラウマ その4 〜おこめつぶ襲来〜


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