1スレ:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) Vol.12スレa:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) Vol.22スレb:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) >>1視点3スレ:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) Vol.34スレ:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) Vol.4552 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:22:08.94 ID:5IiXbVYo
どこかぼんやりとした、覇気のないピッコロさんの表情を見ていることが出来なかった。
一時の衝動に駆られて傷つけてしまった。ショックを与えてしまった。
血に濡れた口元が痛々しくて視線を逸らす。
俺の体に廻っていた逞しい腕が、ぽとりとベッドに落ちた。
この人を安心させてやりたいと?
優しくしてやりたいと?
馬鹿馬鹿しい、俺にはそんなこと到底無理なのに。
あの人でなければ。きっと。
556 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:30:00.61 ID:5IiXbVYo
好きだと、愛していると言ってくれる言葉を信じていたかった、
信じていたはずだった。
だけど、自分でも解っていた。信じきれていないこと。
だからこそ俺はこの人に、触れられなかった。思い出させてしまうのではないかと。
そういう接触を避けて、ずっとやさしく、ただやさしくしていたかったのは
ピッコロさんのためじゃない、自分のためだ。
俺は小さな人間だ。
そんな自己満足さえまともに貫き通すことの出来ない
どうしようもない人間だ。
558 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:34:37.16 ID:5IiXbVYo
俺「……さーせん。横になってて。救急箱取って来るっすから」
ピッコロ「!」
俺「?……なんすか。手ぇ、離して」
ピッコロ「つら、かった」
俺「……さーせん。ほんとに……なんて謝ったらいいのか」
ピッコロ「……」
ピッコロ「いまも、つらい」
俺「…………」
561 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:40:04.38 ID:5IiXbVYo
俺「…………」
俺「すみません。」
ピッコロ「……つら、い」
俺「すみません。」
俺「……あなたとまた一緒に過ごせて、」
俺「俺は……幸せだ、だけど、」
俺「…………」
俺「だけど、俺たち、やっぱり離れていた方が良いのかも知れないっすね」
俺「俺はきっとあなたを傷つけるだけだ」
564 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:46:32.64 ID:5IiXbVYo
ひっ、と喉で息が震えるような声を出したピッコロさんが、
俺の手を掴んだ手を持ち上げて自分の口を押さえたようだ。
俺はそちらを見ることも出来ない。
喉がカラカラだ、呼吸が張り付くようだ。
ピッコロさんの体は震えている。
577 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 21:58:17.49 ID:5IiXbVYo
救急箱を取りに行こうとベッドから降りる。ピッコロさんは何も言わない。
今寝室から出て階下に降り、救急箱を取って戻ってきたらもう
そこにピッコロさんはいないような気がして、胸が騒ぐ。
「ピッコロさん、待っててく……、!」
開いたままのドアへと向かいながらおずおずと視線を向けた。
泣いていた。
ひっそりと、身を小さくしながら、声もなく。
「……泣かないで」
拭われもせず口元を押さえる手に零れる涙をどうしても拭ってやりたくなる。
ベッドに戻る、ベッドに膝を着く、マットのゆがみにピッコロさんの体が揺れる。
それでもピッコロさんは俺を見ない。
579 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 22:02:51.39 ID:5IiXbVYo
ピッコロ「…………」
俺「ピッコロさん?ピッコロさん、泣かないで、さーせん」
ピッコロ「…………」
俺「さーせん。ピッコロさん……泣かないで、」
俺「……痛い?」
ピッコロ「…………」
ピッコロ「…………」
俺「ピッコロさん?」
591 : ◆hAmnyPalgs[sage]:2008/06/12(木) 22:15:45.37 ID:5IiXbVYo
拭っても拭っても溢れる涙に胸が痛む。
どうして泣いているのか、とか、俺に何が出来るだろう、とか、
そんな当たり前の感情に紛れて愛しい気持ちが込み上げてくる。
「ピッコロさん?」
泣き続けるピッコロさんを抱き締めて、涙を拭って、名前を呼んで。
窓の外が明るくなってくる頃に漸くピッコロさんが口元を押さえていた手を下ろして、
小さく呟いた。
俺の名前だった。
つづく・・・。
次スレ:
七年後のピッコロさん(欲求不満重視) Vol.6