欠陥

787 ◆AC57OO8nhs [sage] 2009/09/06(日) 01:51:35.94 ID:EzRdM2DO Be:



「私の身体に、欠陥が見つかりました」

それはあまりにもあまりにも急な知らせでした

「け…欠陥、ですか」

「はい、重大な欠陥です。」

重大な欠陥…
679さんのその言葉に、思わずごくりとつばを飲み込む

いったい重大な欠陥って何なのでしょうか
まさかまさか、解体処分スクラップ直行な重大欠陥では無いと良いのですが…
けれども679さんはただ黙って、その続きを口にしようとはしないのです。

痛いほどの沈黙があたりを支配して
考えれば考えるほど、イヤな想像ばっかりが湧いてくる。
どきんどきんと、緊張したぼく自身の鼓動がうるさくて

「…あの、その重大な欠陥って…」

「…はい、とても重大です」

「…」

「…」

言いたくないのか、言えないのか
679さんは口を真一文に結び、ただ悲しい顔でじっと黙っている

でも、訊かなきゃ

訊かずにいて後で後悔なんてしたくない
もう、後悔はしたくないんです。

「679さん、教えてください。その重大な欠陥って…」

「…神様」

意を決して見上げた679さんのガラスレンズの目は
ひどく落ち込んでいるように見えました。


788 ◆AC57OO8nhs [sage] 2009/09/06(日) 01:57:29.73 ID:EzRdM2DO Be:

どきどきと痛いほどに鼓動が早鐘を打つ

でも、知らずに後悔はしたくないんです

「…」

「…実は」

真一文に結ばれていた唇を開く679さんの声は剰りに重たくて
その重たさが事の重大さを物語っているようで
ぼくは彼の手を掴み、じっとその目を、顔を見つめる事しかできなかった。
聞き逃さぬように、それがどんな事でも彼を受け入れようと心に決めて。

そんなぼくの心中を察したのか、679さんがゆっくりとぼくの前にひざまづき
そっと耳元に口を寄せ、呟くように囁いた

「…、私、スキップが三段跳びになるんですよ」

「…」

ぼくは今さっきまでのぼくの全てがアホらしくなった。
なんでぼくはこんな人の話をまじめに聞いているんだろう。

とりあえず679さんを殴りたい衝動に駆られながらも、それをこらえ
ぼくはなにも言わずに(言えずに)執務室に戻り仕事を再開することにしました。

ドアの外からぼくを呼ぶ679さんの声が聞こえる気がしますが、あんな人知りません。

ばか!



おしまい。
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