むかし、の、こと 5

725 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/07/12(日) 10:01:00.59 ID:rvNZscDO Be:
>>679続き

外は雨

雷鳴轟く、豪雨

空から降る雨粒は強くコンクリートの道を叩き
雷はごうごうと不機嫌な唸り声を上げている

私はというと雑然とした自室のベッドに身体を投げ出し
窓の外の、鉛色の空を
ぼんやりと不確かな意識の中眺めていた

あの後のことはあまり覚えていない
ただ、感情電流の乱れに思考を犯され
今にもショートしそうな電子頭脳が命令するままに私は神様に…

神様に、乱暴したのだ

いかなる理由があろうとあんなことは許されない
なのに
謝罪はおろか、私は逃げ出すようにあの場所を後にした
すべてが嫌になり
なにをしていても落ち着かない
作業中も私らしからぬ凡ミスを繰り返し
自室へ帰ってからも、洗濯するかと思いつけばうっかり洗剤を一箱放り込み
掃除でもしようかと思えば途中で全てがどうでもよくなり放棄する
とにかく、何をしていても落ち着かない、気力が持たない

常に頭の中は神様のことでいっぱいだった


726 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/07/12(日) 10:02:29.04 ID:rvNZscDO Be:

理解不能

理解不能理解不能理解不能

神様は確かに693を好きだと言った、過去形にはまだならないと
ならば私は何だったのか
好きな人が他にいる状況で、他のものに肌を許すのは一体何故だ

心を持ちたいなどと無茶ぶる機械への哀れみ?
慰め?同情?
必要としてくれる者を失った物の恋愛ゴッコに付き合ってくれていただけ?

考えることは山ほどもあった
それの一つ一つに答えが出るかは話が別なのだが


分厚い鉛色の雨雲の向こうで、神様はどうしているだろう
私を蔑んでいられるだろうか

私は、

謝罪しに、行くべきなのだろう

深い深い、綿埃の塊のような色をした分厚い雲が
私と神様の間に壁のように存在していた


727 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/07/12(日) 10:07:40.23 ID:rvNZscDO Be:




ユウウツ…

きっと地球の人はこの感情をそう言い示すのでしょう
ひどく頭がだるくって、身体が重たくって、何をしても溜息ばかりがあふれだす

執務室のイスの上で、小さく身体を丸めるように膝を抱き
ぼくは何度目になるかわからない溜息をついた
数える気になんかなれないほどたくさん溜息をついたことだけは確か

「お仕事、しなきゃ…」

わかっています
お仕事しなきゃ。でも
でも、身体が重たくて、頭が鉛みたいで
気分は、ひどくユウウツ

もう、一年近いつきあいだから
679さんの事はかなりわかってるつもりでいました
なのに
あんな679さんは初めてだった
言い知れぬ恐怖さえ、あの時のぼくは彼に感じて

693さんを好きと言ったから、彼は怒ってしまったのでしょうか
いいえ
怒っている、とは少し違うような
もっとなにか…どろどろしてぐるぐるしてぬるぬるしてぐずくずした何か…

679さんは、感情示すのへたっぴだから
あの時の彼が何を考えて、思っていたのかぼくにはわからないけど


ただ一つ確かで重要なのは

今日の下界は雷鳴轟く大雨だということ。




続く・・・。

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