677 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/05/14(木) 09:16:38.61 ID:p35YMwDO Be:
>>670続き。
「っ…、ふざけないでくださいっ!」
「ふざけてなんかいませんよ」
姿が、顔が、見えなくて
声までもが違って
679さんがわからなくなって
本当に、いま身体の上にのし掛かって、ぼくの身体を撫で回しているのは679さんなのか
わからなくなりそうになる恐怖
なのに
「…、っ、…んっ」
その手のひらは、確実にぼくの弱いところを知り尽くしていて
蜘蛛が這うように、蛇がうねるように、身体を隅から隅まで攻め尽くし
視界を奪われているせいか、より敏感になった肌の感覚は
触れるか触れないかの位置で手のひらが身体を撫でるように這うだけで
微弱な電撃のような性感がぞわぞわと身体の芯を駆けてゆく
沸き上がる、抗い難い性感にじわじわと犯されて荒くなった呼吸を整えようとすればするほどに
喉からは自分のものとは思えない甘い声が、呼吸に混ざって漏れて
こんなことイヤなのに
でも確かに感じてる自分がいて
情けなくて、悲しくて、切なくて、苦しくて
何よりも、679さんがわからなくて
申し訳なくて
涙が止まらなかった。
678 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/05/14(木) 09:20:02.43 ID:p35YMwDO Be:
溢れた涙は視界を遮る布に吸われ、布は瞼の上でじわりと温く湿り気を帯びた
「どうぞ声を殺さないで、そして…俺を、呼んで」
「ひぁっ…ち、がう…ぁ、…ゃ、め…67きゅぅ…さっ…」
耳元で囁かれた声は679さんじゃなくて
でも679さんで
声に混ざり、耳に微かにかかった吐息にさえ身体は反応してしまう
「ひ、、んっ…679さぁ、ん…っ」
「違うでしょう?679ではなく…」
急に、その声が止まって
ぼくの身体を攻め立てていた手も止まる
視界は塞がれたままだからわからないけど
ただ感じたのは、彼が困惑している事だけ確かで…
「…」
不意に世界に眩しいほどの明るさが戻って
ぼくの視界を塞いでいた布が外された事を知るけれど
ただただしばらくは自分の呼吸と、それに混ざる嗚咽のような声がうるさくて
自分の頬を、目から溢れた温い液体が伝い落ちていく感覚が気持ち悪かった
「…どうして?神様、何故泣きますか」
「…っく、679さぁん…ぅっ」
679 ◆AC57OO8nhs [sage] Date:2009/05/14(木) 09:30:05.44 ID:p35YMwDO Be:
困惑した視線を向ける無表情な顔も
抑揚の薄い声も
679さんで
少しの安堵感と、言い知れぬやるせなさが胸の底から溢れ出して
まだまだ、頬を濡らす温い涙は止まらない
「な、んで…こんなことっ…っ、するんですかっ!」
「神様はまだ彼が好きなのでしょう?私は構いませんよ。」
「ちが…」
違う。違うんです。
693さんは、679さんが言うような意味での『好き』じゃない
なのに、言葉は涙と嗚咽に埋もれて声にならない。
喉の奥に突っかかり、息が詰まる。
「ほんと…っ、ちが…ぅんですっ…」
「何が違いますか?」
「693さんは…っ、693さ…はっ…」
滲みぼやける視界の中で
679さんの広角が微かに持ち上がり、すうっと目が細められたのを
ぼくは、きっと確かに見た
「私は構いませんよ。機械は、いかなる時も生の代替品でしかないのですから」
まだまだ続く。